Z世代のMBA出願が急増、企業の「学歴不問」採用が増える中 米国
企業は採用要件から「大卒」を外しつつあるが、MBA(経営学修士)への出願は急増している。米大学院管理入学評議会(GMAC)によると、MBAプログラムへの出願は昨年から12%増加した。実際、調査に参加した学校の80%が2年制のMBAプログラムへの出願が増加したと回答している(例えば、ニューヨーク大学のスターン・スクール・オブ・ビジネスへの出願は40%近く増加した)。 一方、半数近くの企業が今年、採用要件から「大卒」を外す予定だ。CNBCテレビによると、こうした動きは大学を卒業していない米国の労働者の約62%に追い風となる可能性があるという。だが、教育などの情報を提供するオンライン雑誌「インテリジェント・ドット・コム」の調査結果によると、現在、中級職では半数以上、上級職では20%近くで修士号はおろか学士号も求められていない。多くの雇用主が採用時に学歴不問とする中で、なぜZ世代はMBA取得に熱心なのだろうか。MBAは職を求めているZ世代に欠けている経験なのだろうか。 ■職場での冷ややかな評価に対抗 フォーブスのシニア・コントリビューター、ジェイソン・ウィンガードによると、大卒であることが就職に有利だった時代は終わった。「雇用主はもはや、大卒者が仕事に必要なスキルを備えて入社してくるとは思っていない(かつては真っ先に採用候補となることを保証していた名門私立大学8校の学位の価値さえ疑問視している)。採用の対象を広げることで、企業はかつて学士号を持っていないために要件を満たしていないとみなしていた有望な求職者を見つけたいと考えている」とウィンガードは書いている。 昨年のMBAプログラムへの出願は前年比4.9%減となり、過去5年間で最大の減少となった。おそらく今年の出願数の急増は過去の減少の反動だろう。よく言われている近ごろの新卒者のモチベーションやプロ意識、コミュニケーションスキルの欠如についてフォーブスは報じている。実際、最近の調査では75%の企業がZ世代の採用に満足していないと回答している。MBAを取得すれば、Z世代は職場での芳しくない評価に対抗できるのだろうか。 MBAを取得するとキャリア形成のためのライフスキルが身につく。さらに教育を受けることでプロ意識の体得につながり、現在の職場でZ世代が直面している逆風に立ち向かうことができる。MBAプログラムの経験は貴重なビジネススキルを得るための第一歩となるのに加え、新たな人脈の構築、雇用主やチャンスの発掘につながる。高い学位は自分のキャリアにかなり注力していることを示すことができる。だが、決して学歴がすべてではない。それ以上のスキルが必要だ。