2024年の倒産件数、11年ぶり大台突破確実か/コロナ禍の手厚い保護「ゼロゼロ融資」の返済ピーク、中小企業に大打撃
2024年、中小企業の倒産が11年ぶりに1万件を超える高水準になるとみられている。20年~22年の新型コロナ禍では、実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」などにより、倒産件数は抑えられていたが、返済期限が迫り倒産を選択する企業が増えていくとみられる。日経ダウ平均株価は史上最高値に迫る勢いで推移するが、日本企業の99%を占める中小企業には厳しい1年になりそうだ。 【動画】倒産危機だった町工場、ロケットを飛ばす
◆31年ぶり、全業種で倒産が増加した2023年
2024年1月17日発表の中小企業庁の倒産データによると、2023年の全国の倒産件数は8690件で、前年比35.1%増、負債総額は2兆4026億円4500万円だった。 企業倒産数は2年連続で増加し、4年ぶりに8000件台に達した。増加率35.1%も、1992年以来31年ぶりの高水準だ。 業種別では、飲食業を含むサービス業が2940件(前年比41.6%増)で、増加率第1位だった。 また全業種(建設業、製造業、卸売業、小売業、金融・保険業、不動産業、運輸業、情報通信業、サービス業・その他)の倒産数が、31年ぶりに前年を上回った。 2020~22年の日本がコロナ禍に喘いだ3年間の倒産件数を、その前年の2019年から見てみる。 2019年 8383件 2020年 7773件 2021年 6030件 2022年 6428件 2023年 8690件 コロナ不況と言われたが、倒産件数はコロナ禍の間は低水準だったことが分かる。 倒産件数のほとんどは、中小企業だ。 ちなみに2023年に倒産した上場企業はわずかに1社(東証スタンダード上場の総合衣料卸売業のプロルート丸光)だ。
◆コロナ禍後、中小企業の倒産が増える理由
なぜ、コロナ禍が明け、株価も高騰するのに、中小企業の倒産が増えるのか。 コロナ禍の期間は、ゼロゼロ融資(実質無担保・無利子)などによって、中小企業が手厚く保護された。 しかし、コロナが収束し、返済が重荷になって倒産が増えたのが実態だ。 「返済期限も迫っており、いっそのこと倒産してしまおう」というパターンが多いとみられる。 2024年にはゼロゼロ融資の民間返済がピークを迎え、資金繰りが一段と厳しくなる企業が増える見込みだ。 このため倒産件数は1万件の大台を超えるという予測が多い。倒産が1万件を超えれば、2013年の1万855件以来となる。