せっかく作った遺言書が無効になる場合も…相続専門税理士が勧める「もっとも安心で確実」な遺言の作成方法
遺言書にはいくつか種類があることをご存知でしょうか。「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類が主に使用されるものです。税理士法人レガシィの天野大輔氏の著書『相続でモメる人、モメない人』(日刊現代)より、遺言書の違いとモメない遺言の書き方について詳しく解説します。 都道府県「遺産相続事件率」ランキング…10万世帯当たり事件件数<司法統計年報家事事件編(令和3年度)>
遺言書の種類を選択する
遺言を書きたいと考えたとき、子どもに相談してからにしたほうがよいか迷う人は多いのですが、子どもに相談する必要はありません。夫婦ふたりで決めるのがいいでしょう。また、遺言を書いたことを子どもに伝える必要もありません。遺言を書いたことを子どもに伝えてしまったために、「見せてほしい」といわれ、見せざるを得なくなった結果、書き換えを迫られることもあります。 子どもに相談する必要はありませんが、遺言が効力を発揮するには、形式を満たす必要があります。事前に専門家に相談したほうがいいでしょう。 ここで遺言の種類について整理しておきましょう。一般的に利用される遺言には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つがあります。 ●自筆証書遺言 もっとも多く利用されるのが自筆証書遺言です。手書きですから、紙とペンと印鑑があればどこでも簡単に作成できるメリットがあります。また、証人が不要なのでひとりで作成できますし、遺言したことやその内容を秘密にしておくことが可能です。 以前は財産目録を含め、すべて自筆する必要があったので高齢になると難しい面もありましたが、いまは、財産目録はパソコンなどで作成が可能になっています。 加えて法務局による保管制度も創設されています。自筆証書遺言は、紛失したり、相続人の利害関係者によって破棄、隠匿、改ざん等が行われる可能性がありましたが、保管制度を利用すれば、法務局で管理・保管されるので安心です。 保管制度を利用すると、遺言が必要な形式を満たしているかどうかをチェックしてもらうこともできます。自分で保管する場合には、形式を満たさず無効になる恐れがありますので、専門家に相談した上で作成したほうがいいでしょう。相続発生後に自筆証書遺言を開封するには原則家庭裁判所の「検認」が必要ですが、保管制度を利用した場合は検認が不要となります。
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