横浜FMの覇権奪還のキーマン渡辺皓太が目指すのは(イニエスタ+シャビ+カンテ)÷2
【キューウェル監督は勝負師】 ――先ほどおっしゃっていたキューウェル監督になってからやり方の変化というのはどんなところですか? 昨季まで流動的なサッカーでしたけど、キューウェル監督になってからしっかりとポジションを守って、自分のエリアでプレーする。相手が動いてから自分たちが動くというサッカーに変わりましたね。 ――確かに昨季まではとくにサイドバックの選手はかなり流動的に動いていましたが、ここまでの試合を見るとそれほど動かなかった印象を受けました。 そうですね。逆サイドにボールがある時は中に入りますけど、同サイドの時はサイドに張るという指示もあるので、昨季と比べるとかなり外に張っている時間が長いと思います。 ――キューウェル監督はどんな監督ですか? キャンプではチームの約束事をきっちり守れという感じでしたけど、結構臨機応変なところもあって、正直まだ掴めてないところがありますね。 ――臨機応変というと、開幕戦では終盤に前線の選手を4人並べる、今までの横浜FMにはないような大胆な選手交代もありました。 あの組み合わせ、フォーメーションは、練習でもACLでもやったことのない形でやりました。チームとしてのベースはあるけど、試合によって結構変えてくる監督なんだなと感じましたね。 ――かなり勝負師な一面もあるんですね。 そうですね。あの時FWを4人並べて、中盤のふたりもボランチという選手ではなかったですからね。勝負師だと思います。
【開幕戦はラスト10分で逆転できるチームだと証明できた】 ――その開幕戦の東京ヴェルディ戦というのは、渡辺選手にとって特別な相手だったと思います。開幕カードが決まった時はどんな思いでした? 開幕戦がヴェルディだと決まった瞬間はすごく嬉しくて、楽しみで仕方なかったです。絶対に負けたくなかったし、チームとしても結果が欲しかったので勝ててよかったですね。 ――かなりハードな試合になりましたが、対戦相手としての東京Vはいかがでした? 相手もこの試合に懸けてきていたと思うし、難しい試合になることはわかっていました。それにしても自分たちのあまりよくない部分が出てしまっていたので、もっと簡単に試合を進められたと思いますね。勝てて嬉しいですけど、悔しい気持ちのほうが強いです。 ――前半はとくに難しい展開でしたが、渡辺選手がセンターバックの脇に下りてボールを受けるようになって改善されました。 自分たちで勝手に焦ってしまっていましたね。チームの約束事も大事ですけど、もう少し早く自分が気を遣って下りてボールを受けたりすれば、もっと楽な試合展開になったと思います。 ――後半は先ほど言ったようにスクランブルな形を取って押し込みました。ぶっつけ本番ということでしたが、選手たちに戸惑いはなかったですか? みんな能力は高いので、十分に対応できます。むしろメッセージがわかりやすくていいと思います。 ――松原健選手の劇的な逆転ゴールはベンチで見ていてすごかったんじゃないですか? ちょうどベンチ前から綺麗に軌道が見える角度で、なんか時間が止まったような感覚というか、本当にゆっくりとゴールに吸い込まれていきました。あれは選手やサポーター、みんなの気持ちが乗ったシュートだったと思います。 ――5万人以上のサポーターで埋まった国立が、劇的な勝利に湧きましたね。 やっぱり嬉しかったですね。ビハインドでもラスト10分で逆転できるチームだと証明できて。この先の第2節、3節につながる勝利だったと思うし、こういう勝ち方ができるのは本当に強みになると思います。 正直、内容はまだまだでした。でも開幕戦は結果がなによりも大事。あまりネガティブに捉えず、内容もこれからどんどんよくなっていくと思います。