国会議事堂＝東京都千代田区（本社ヘリから、彦野公太朗撮影）

15日公示された衆院選は、小選挙区定数「10増10減」などを踏まえた新たな区割りのもとで初めて実施される。「一票の格差」を2倍未満にするため、令和4年に成立した改正公職選挙法に基づく措置。いずれも過去最多となる25都道府県・140選挙区で区割りが変更され、候補者も戦略の見直しを強いられている。 【表でみる】夕刊フジが作成した「落選危機にある大物・著名候補21人のリスト 10増10減は、2年国勢調査に基づき、人口比を反映しやすいとされる議席配分方法「アダムズ方式」によって決定した。 25都道府県のうち、選挙区数が変更されたのは15都県。宮城、福島、新潟、滋賀、和歌山、岡山、広島、山口、愛媛、長崎の10県は各1減。これに対し、増えたのは1都4県で、東京都は5増、神奈川県は2増、埼玉、千葉、愛知各県が1増となる。このほかの10道府県は定数が維持され、区割りのみが変わる。 定数減となった県の小選挙区に挑む前議員は「面積が広くなった。新たに事務所を設ける必要が生じたり、移動のためのガソリン代が増えたりして大変だ」と頭を抱える。 投票価値の平等は、憲法14条が定める「法の下の平等」に基づく民主主義の基本とはいえ、都市圏への人口流出に伴い「地方の声が政治に届きにくくなる」との懸念は根強い。 また、一般的に都市部は浮動票が多く、無党派層や野党支持層も目立つ。地方では自民党が強固な地盤を持つ選挙区も少なくないが、今回議席が増えた都市部は浮動票が勝敗を左右するケースも多く、選挙結果に影響する可能性もある。 昨年4月には自民の旧安倍派が憲法改正によって国政選挙の「一票の格差」問題を解消するよう求める提言をまとめる動きもあったが、抜本的な解決に至るかは見通せない。（内藤慎二）