京都・両足院で展覧会開催!加藤泉がつくる「自然、のようなかたち」
現代美術界において日本を代表するトップランナーのひとり、加藤 泉。不思議な存在感を放つ"ひとがた"の表現はユニバーサルな層を深層心理で魅了してきた。京都・両足院の展覧会に向けて準備中のスタジオを訪れた 加藤泉のスタジオ(写真)。基本的に制作はひとりで行い、絵や彫刻、気分次第で複数の作品を同時進行で仕上げていく
加藤泉(かとう・いずみ) 1969年島根県生まれ。美術大学を卒業後、’98年頃から本格的にアーティストとして始動。世界各地に展開する現代美術のトップギャラリー「ペロタン」で10回以上個展を開き、今春オープンした「ペロタン・ロサンゼルス」では柿落としの展覧会を行なった。作品は東京国立近代美術館、東京都現代美術館、金沢21世紀美術館、ピゴッツィ・コレクション(ジュネーブ)、龍美術館(上海)、レッドブリック美術館(北京)などに収蔵。https://izumikato.com 制作途中の木彫作品と。これにプラモデルが取りつけられる予定
東京と香港を主な拠点とし、今年のロサンゼルスやミルウォーキーでの展覧会をはじめ、ニューヨーク、ロンドン、パリなど世界各国で常に展示や制作を続けるアーティストの加藤泉。本人は「出稼ぎにいってるんです」と軽い調子だが、その移動自体がモチベーションになっているようだ。「海外ではいつもと違う人、食べ物、空気に触れて、ワクワクする気持ちが増える。それが大事で、すぐじゃなくても制作に関係してくる」と話す。 この秋には京都の建仁寺・両足院で旧友のメキシコ人アーティスト、ボスコ・ソディとの二人展『黙:Speaking in Silence -ボスコ・ソディ&加藤泉』を開催する。出会いは2007年、東京にレジデンス(滞在制作)に来ていたソディが加藤を訪ねたことだ。「初めはよくしゃべるし、メキシコ人に会ったのも初めてだし、ちょっと引いてたんだけど(笑)、それから世界中のいろんなところで会うようになって、仲良くなった。同じようなタイミングでお互いキャリアを積み重ねていって、今は対等に話せる存在」だという。その後、加藤がメキシコに行った際、オアハカにある廃墟の教会で二人展をやろう、という話が持ち上がったが、コロナ禍で中断。次の候補地だった京都での展示の場所が思いがけず早く見つかり、今回の展示につながった。「教会や寺社、モスクとか世界各地の宗教施設で展示ができたらいいね、って飲みながら話してた」