「フロント分離機構型も登場!」ホンダ第二世代モンキー【Z50A/Z50Z】(1969~1973)詳細解説
収納性向上をねらい、前輪分離機構を新採用したZ50Z(1970年発売)
また、翌1970年4月にマイナーチェンジ版が登場。Z50Aではクルマのトランクに積む際の収納性が低下したため、フロント部(フォーク+前輪+ハンドル)がボディ部と完全に分離できる機構を装備したZ50Zが追加されたのだ。これにより同車のニュースリリースでは「乗用車に楽に積めます」と車載収納性を強くアピール。またフロント部分離機構採用と同時に、作業時の安定性に利するメインスタンドを採用したのも特徴だ。 Z50Aからの、ホイール大径化とテレスコピックフォーク採用で「乗用車の行けない砂浜や山坂なども平気で走り、登り、レジャー範囲がぐんと広がります」とアピールできたのは、ある意味でモンキーの進化だった。一方で、小さくたためることでの、積みやすい車格は若干損なわれた。そこでマイナーチェンジかつ追加版となったZ50Zから、同時期発売のダックスホンダと基本を共通化した分離機構採用で、トランク収納が積極的に行えるようになったわけだ。 ちなみにこの時期はZ50Aも併売されており、ホンダの当時のニュースリリースではZ50A=フロント固定式、Z50Z=ニューモンキー分離型と紹介している。なお、Z50Zでは、ほかにアップタイプマフラーへの変更、リヤのフットブレーキ化などが行われたが、これは収納時の持ち上げ性、フロント部の簡易な分離などに配慮した変更と言えるだろう。 Z50Zフロント部の分離機構。先にダックスホンダで採用された機構で、分離手順は次の通り。 1.クリップで接続しているスロットルワイヤーの取り外し。 2.ワンタッチで外れる配線ソケット類の分離。 3.ステアリングヘッド上のノブの左回しでのシャフトの抜き出し。 当時の『モーターサイクリスト誌』では、作業は20秒で完了と書かれている。 分離後も車体を自立させ作業ができるように、センタースタンドを装備。また、リヤブレーキをロッドによるフット式に戻したのは、分離作業を簡単にできるほか、手動ブレーキ系を途中で切ることは、安全性に難があると考えたためだ。