新居なのにトラブルだらけ。店ではたらい回し。フランス生活で試されるのは、全方位的な忍耐力!【井筒麻三子】
人気YouTubeチャンネル「GOROGORO KITCHEN」のMamikoこと井筒麻三子さんが、パリでの家探しや新しい暮らし方を綴ります。 【実際の画像】泡も水も漏れまくった新居の洗濯機 新居に引っ越しをして、約1ヵ月が過ぎた。 ちょっと調べてみたところ日本だと、引っ越し後に生活が整ってきたと感じるのは、通常引っ越してから1~2週間のことらしい。対して我が家は、段ボールこそほぼなくなったけれど、いろいろなことがまだまだ全く整っていない。なぜ、なぜなのか。今回は、我が家がただ怠慢なのはなく、それがここフランスという国の特殊性がなせる技なのだということを、ぜひアピールさせていただきたいと思う。 まずそもそもの問題は、大家さんと直接やり取りをしており、不動産会社などが介入していないこと。手数料などの無駄な料金がかかっていないことは助かるが、直接やり取りするということは、第三者からのフラットなジャッジが入らない。新居は元々、大家さんのお母様の家だったのだが、お母様が住まなくなって1年ぐらい放置されていたそう。入居してみると、表面的にはクリーンになっていたものの、住んでみると「ん?」ということが多々発生した。 例えば洗濯機。備え付けがあるとのことだったのだが、念の為テスト運転をしてみようと、洗剤だけ入れて回してみたところ……ハッと気がついたら、キッチンが泡だらけになっていた。 即大家さんに連絡。新しいものに換えてもらえることになってホッとしたものの、新しい洗濯機を持ってきたBoulanger(ビックカメラ的な店)の技術者さんに「排水溝が遠くてつなげられません。我が社でホースを買って下さい」と言われる。 仕方がなくBoulangerまで行きその旨を告げると、「ホースはあるけど、それを繋ぐ接続パーツが必要です。それはうちでは売ってないから、近くのConforama(ホームセンター)で買ってね」と言われる。
仕方がなく今度はConforamaに行ったところ、見るからにやる気のなさそうな店員を示され「あの人がそのパーツ担当」。仕方がなくその店員さんに聞くと「あー、そのサイズはないっすね。こっちのホースに合うのならあるけど~」。 仕方がなくBoulangerに戻って買ったホースの払い戻しをお願いし、またConforamaに戻り、言われたホースと接続パーツを買おうとしたところ、先の店員さんがないと言っていた別サイズのパーツを発見。あまりの適当さに、「え? そもそもこのホース自体、本当にうちの洗濯機のサイズに合うの?」という疑問がむくむくしてきた。 夫がとうとうブチ切れ、通りかかった違う店員さんに問いただし、口論になってしまった。「あなたの同僚が、このサイズはないって言われたからBoulangerに返品したのに、それっぽいのがある。どういうことだ」「Boulangerで言われたことは、うちには関係ない」etc. 収集がつかないので、わあわあ言い合っている二人の間に私も参戦し、「ムッシュー聞いて下さい、とにかくとにかく、こういう事情なんです。き・い・て!!!」。 店員さんは最終的に「それならBoulangerで売っているホースでいい。そして接続パーツはこれだ。あと、それを挟むバネも必要だ」と、なんなら他の人たちが誰も教えてくれなかった、必須アイテムまでも教えてくれた。「ムッシューありがとうございました。怒っちゃってごめんなさい」「いやいいんだ。良い1日を」。そんなやり取りをしてその日3度目のBoulangerに戻り、元のホースを買い戻し帰宅。 翌日またBoulangerの技術者の人が来て、無事ホースも繋がった。やった! さあ洗濯だ! と回すも……何度トライしても「水が注がれません」の表示。またもや大家さんに電話し、排水管工事の人を手配してもらい見てもらったところ……「蛇口が死んでたから、取り替えたよ」。つまり、1年も放置されていたので、蛇口がすでに壊れており、そもそも水が注入されなかったのだった。 と、万事がこんな感じなのである。日本でだったらあり得ないような出来事だけれど、この国ではしょっちゅうあると思っていい。さらに8月はほぼすべてのものが休みで、何も進まず捗らなかった。 やっと9月になり、ゆっくりと街が動き始めたけれど、我が家はまだまだ整えなくてはいけないところだらけ。いつになったらすべてが完了するのか。現状では全く、見当がつきません……。 撮影/Yas
井筒 麻三子