お薬から全速力で逃走! 保護猫が負った「下半身不随のハンデ」を物ともしない天真爛漫さ
親友猫「くぅ」の看取り
フレンドリーで面倒見がよく甘えんぼという共通点もあってか、らいとすぐ仲良くなった先住猫くぅ。ピッタリくっついて寝たり、かくれんぼしたり、認知症を患う犬「しの」を一緒にお世話するなどとても仲良しでした。 2018年にしのを看取ってから病気がちになったくぅは、1つの症状が収まったら、次の病気を発症する...を繰り返し、通院と投薬が欠かせませんでした。 しのがいない寂しさと体調不良で、いつも悲しそうな瞳でひとりで過ごすようになったくぅを、猫たちはどうしたらいいのか分からず戸惑ったように遠巻きにしていましたが、らいはそーっとくぅに近づいて後ろにさりげなく控えたり、くぅの顔や頭を優しく毛づくろいして慰めてくれました。 そんならいの優しさが通じたようで、少しずつ以前のようにらいの側でくつろぐくぅの姿が見られるようになっていきました。 2020年冬。また少しずつ体調が悪化していくくぅは、次第に痩せて毛並みもパサパサになり、動きもゆっくりになりました。 長年飲み続けていた薬の副作用で糖尿病を患ってから、さらに朝晩2回のインスリン注射も欠かせなくなりましたが、他の子のごはんドロボーをしたり、食事前にキッチンでスタンバイしたりと食欲旺盛でした。 静かに過ごすことが多くなりましたが、体調が良い時にはテレビを見ているいちの正面に座って気を引こうとしたり、らいを毛づくろいしたりと、少し活動的に動く姿にホッとしていました。
穏やかな日々を過ごしていたくぅでしたが、2022年4月18日、低血糖で倒れてそのまま入院になりました。 2日後の朝、病院を訪れると、脳の麻痺があり頻繁にてんかん発作が起きているため、まだ退院できる状態ではないとのことで、その日の閉院前にまた先生と今後のことを相談することになりました。 くぅと面会して、頭を撫でると手のひらに頬をスリスリと擦りつけるような動きを微かにしてくれたくぅに、「後で迎えに来るからね」と後ろ髪を引かれる思いで伝えたのが、最後のふれあいになりました。 面会から1時間後、病院から「くぅちゃんが亡くなりました」と連絡があり、急いで駆けつけました。治療台に横たわる、まだ温かいくぅの体が冷たくなるまで撫で続け、丁寧に処置をしてもらったくぅと一緒に家に帰りました。 らいの寂しそうな姿や、鳴かなくなったり体調を崩す子たちを見て、くぅの死は猫たちにも少なからず影響を与えて、その存在の大きさを改めて感じたのでした。
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