【お悩み】人前が苦手、不登校ぎみの中3娘…ビリギャルおすすめの「乗り越え方」は?
自分との約束を守る
人前で恥をかきたくないという思いの裏にあるのは、自信のなさです。日本人はとにかく自信がない。私もよく「どうしたら自信がつきますか」と聞かれます。「自信」って自分を信じる、と書きますよね。じゃあ、どんな人なら信じることができるか。それは、約束を守る人だと思うんです。ということは、自分との約束を守ることができたら、それが自信につながっていくはず。明日は朝7時に起きるとか、そんな小さなことでいいんです。成功体験によって自分への信頼貯金が増えること、それが自信を持つということです。 「人前でプレゼンする仕事ばかりじゃない」は確かに事実ですが、個人的には、考えを言語化して人に伝えることはとても大事な体験だと思います。プレゼンというと硬いけど、結局はコミュニケーション力につながるもの。人と関わらない仕事はなかなかないので、鍛えれば選択肢が増えるスキルだと思うんです。
おだてたり、強制しなくていい
娘さんが興味のあることから、話すことの価値を見いだしてもらえたらいいですね。私は最近、テレビで長く活躍してきた人たちのYouTubeをよく見ているんですが、やっぱりツッコミもしゃべりもうまいなあと、講演者の立場から憧れます。こんなふうに、例えばエンタメの中にも話すことの価値が隠れています。親御さんがちょっと強引にでも関連付けて、娘さんが話すことに興味を持てるような言葉がけを心がけてみてはどうでしょうか。 ただ、ここで変におだてたり、強制したりして、無理に学校に行かせることはしなくていいと思います。大人は「この会社、合わないな」と思ったら転職できるけど、子どもはそうはいきません。自分に合った環境を求めて、もがくこともあると思いますが、大事なのは親がそこでドギマギしないこと。ズドーンと構えていてあげましょう。 そういう意味では、いったん「プレゼンなんて別にいいよね」という姿勢を見せてもいいかもしれません。それよりもたくさん対話をして、どんな大人になりたいかを一緒に考えてあげましょう。子どもがワクワクできる将来のビジョンを指し示す存在でいてください。 〈プロフィル〉 小林さやか(こばやし・さやか)/1988年名、古屋市生まれ。中学・高校でビリを経験。素行不良で何度も停学になり、高校2年生のときの学力は小学4年生のレベルで偏差値は30弱だったが、塾講師の坪田信貴氏との出会いを機に大学受験を目指す。その結果、1年半で偏差値を40上げて慶應義塾大学に現役合格を果たした。その経緯を描いた坪田氏の著書『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』は120万部を超えるミリオンセラーとなり、映画化もされた。大学卒業後はウェディングプランナーの仕事に従事した後、「ビリギャル」本人として講演や執筆活動を行う。2021年、聖心女子大学大学院文学研究科人間科学専攻教育研究領域博士前期課程修了。24年5月に米国コロンビア大学教育大学院で認知科学の修士号を取得。近著に『ビリギャルが、またビリになった日 ─勉強が大嫌いだった私が、34歳で米国名門大学院に行くまで─』(講談社)がある。
朝日新聞Thinkキャンパス