教師の最強の武器は「ありがとう」のコトバ
コトバ②
「ありがとう」
「ありがとう」の出し惜しみはしない
子どもたちは、一生懸命に教室で生きています。 まずは、「通ってきてくれてありがとう」。 コロナ禍に私たち教師が味わったこと……それは、「子どもたちがいるからこそ、教師である〈私〉が存在できる」ということ。だからまずは「来てくれてありがとう」。私は今日も、「何が嬉しいってね、今日は全員が揃ったのが一番うれしい。ありがとう」と子どもたちに話しました。 そう考えれば、「今日も素敵な笑顔を見せてくれてありがとう」だし、「今日も頑張って授業を一緒に進めてくれてありがとう」と考えられますよね。まだまだありますよ~。 「朝から気持ちの良い挨拶をありがとう!」 「一生懸命に掃除をしてくれてありがとう!」 「プリント配ってくれてありがとう!」 「良い意見を聞かせてくれてありがとう!」 「黒板を消してくれてありがとう!」 「素敵なノートを見せてくれてありがとう!」
2つのコトバを発することの良さ
今回取り扱った2つのコトバを発することの良さを改めて記しておきますね。 コトバ1の「良さを価値づけていく」コトバは、子どもたちの自尊感情を育みます。クラスの子どもたちの中には、自己肯定感の低い子もいます。褒められてこなかったり、愛情をたっぷり注いでもらってこなかったりした子も……。そんな時に、あなたはこんな素敵なところがあるのだよ、という価値づけは、その子の存在意義を提示することになり、それが自己肯定感へと繋がります。 コトバ2の「ありがとう」は、まず純粋に教師も子どもたちに感謝を伝えたい、という意味と、教師自身が色々なことに感謝できる姿を見た子どもたちは、自らも「感謝するものだ」と友達に感謝したり、人に対して敬意を持って接したりできるようになっていきます。それは、「文句が少なくなる」ことや、「簡単にお友だちを茶化さない」といった様子で伺い知ることができます。つまりは、子どもたちのつかう「コトバ」に現れてくるのです。 荒れてくる教室というのは、必ずまず「コトバ」が荒れてきます。それを防ぐためには、良い環境を教室内につくること。そのために「教師自身のコトバづかい」が大切なのです。 いよいよ紙面が尽きそうです。教育現場は大変なことも多いですが、魅力に溢れています。それを感じられるまで「コトバ」を意識して日々を過ごしてみてくださいね。 一年間ありがとうございました。 お別れ……ではありません。一度私のインスタグラムも覗いてみてください。毎週【インスタライブ】もやっております。本連載のご感想・ご質問などもお待ちしております。また、ご一緒に……。 今月のまとめ 難しいことも多いけれど、それを上回る瞬間がたくさんある「教師」という仕事。「コトバ」を意識してどうぞ、お入りください! 共に、歩もう。 森川 正樹 関西学院初等部教諭。授業で勝負する教師のためのセミナー「教師の詳細辞典セミナー」講師。国語科の「書くこと指導」「 言葉の指導」に力を注ぎ、「書きたくてたまらない子」を 育てる実践が、朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、日本教育新聞などで取り上げられる。県内外で「国語科」「学級経営」などの教員研修、校内研修の講師、学生に向けたセミナー講師もつとめる。著書に『授業の質を上げる 超一流教師のすごいメモ』『どの子も書きまくる!作文指導アイデア』(いずれも明治図書)、教師のためのスケジュール帳『ティーチャーズ ログノート(』フォーラムA)の監修など多数。 *『月刊教員養成セミナー2024年8月号』 『教師力がアップする“教室コトバ”辞典』より 教師になったら即 “使える”コトバを毎月ご紹介。豊富な経験から生まれたコトバたちは心強い味方になってくれますよ。是非ご覧あれ!