日本屈指の旗艦病院との共創 恵まれた環境に自信、海外への情報発信に注力 神奈川発 医療革命(中)
徳洲会グループが掲げる理念は、医療をいかに平等に同じ水準で提供できるかを追求することにある。同病院が湘南アイパークなどと描く医療と健康の仕組みづくりは関係機関が連携して街全体がクリニックになっているようなイメージであり、つまり「医療と健康」を中心に据えた街づくりによって高い水準のサービスを広く提供していくといえる。
芦原事務長は、取り組みが進めば人々のライフスタイルの変化にもつながるとみる。例えば、市民の健康に関するデータの生かし方だ。体重や血圧、生活習慣などの市民の健康情報を医療機関が日常的に取得できれば、診断や治療に役立つ上に、診療より前の指導によって健康被害の予防につながる。医療機関同士でデータを連携して対応すれば、日常の健康維持効果はさらに高まる。
芦原事務長は「現時点で、一人の患者さんが、生まれてから亡くなるまで、どういった生活スタイルで、どういった食生活をしていたのかというデータがない。データをうまく活用できれば、健康という視点から社会を変えることができる」とみる。
■医療人材の教育も
地域、世界という2つの視点を重視する同病院が、参考としてイメージしているのは米ミネソタ州ロチェスターに本部を置く総合病院「メイヨー・クリニック」だ。
芦原事務長によると、もともと小さな診療所から始まった同クリニックは米国を代表する病院となったが、地域住民や米国民に加え、全世界の患者に平等な医療を行うことをいまも目標とする。さらに医療関係者や患者、市民に対し、健康管理のための教育機関であることも視野に入れているとされる。
湘南鎌倉総合病院は10月23日、医学部と付属病院を持つ横浜市大と包括連携協定を締結した。診療や研究の深化とともに、医療人材の教育も目的の一つに挙げられる。そうした仕組みづくりは、メイヨー・クリニックを彷彿(ほうふつ)とさせる。(大谷卓、高木克聡)