【オフロードでは不思議体験!】メルセデス・ベンツ伝統のGクラスにEVはアリ?
オフロード性能を求めたからこそ
本格クロカンモデルとして長い歴史を誇るメルセデス・ベンツGクラスに、初のBEVモデル『G580 with EQテクノロジー』が加わった。日本へ最初に導入されるのは『エディション1』と呼ばれる、いわゆるファーストエディションで、AMGラインパッケージが標準装備となっているほか、専用装備が備わっている。 【写真】オフロードではEVとしての真価を発揮!メルセデス・ベンツG580withEQテクノロジーの詳細 (103枚) 発表直後からその場でスピンターンをする『Gターン』が話題となっているが、これを可能とするのはそれぞれのタイヤを駆動する4基のモーターを搭載し、独立制御できるからだ。もちろんこのために4モーター、BEVが用意されたのではなく、クロカンモデルとしてのさらなる高みを目指すためというのが、メルセデス・ベンツの主張だ。 その証拠に、850mmの渡河性能、250mmの最低地上高、32度のアプローチアングル、30.7度のデパーチャーアングルは、他のパワーユニットよりも大きな数値となっている。一般的なBEVモデルと比べても大容量な116kWhというバッテリーはラダーフレームに組み込まれ、オフロード走行を想定して26mmという厚みのカーボン素材でガードされている。 最高出力587ps、最大トルク1164Nm(118.78kg-m)という超弩級のスペックは、G63の585ps、850Nm(86.7kg-m)を上まわるもの。しかし車重は3120kgもあり、0-100km/h加速は4.7秒と、G63の4.3秒には一歩及ばない。スペックを見る限り、単純にBEVモデルを追加したというより、ハイパフォーマンスモデルが新たに加わったという印象だ。
4モーターBEVならではのアドバンテージ
そんなG580をオフロードとオンロード、どちらでも試す機会を得た。まずはオフロードからだったが、オフロード走行の経験が豊富ではない筆者のドライブでも、G580は簡単に急斜面を登っていった。BEV特有の低速からトルクフルな駆動は、オフロード走行時のアクセルコントロールがしやすく、前日の雨の影響で濡れた岩場など滑りやすそうなシーンもあったが、G580はそれをいともせず進む。これは緻密なトルク制御が可能な、4モーターBEVならではのアドバンテージと言える。 そしてG580には、オフロードクール機能が備わっている。これはアクセル操作をせずとも低速の一定速度で走行してくれるもので、パドルシフトによって速度の切り替えが可能だ。これにより、急斜面での上り下りがスムーズであった。 また、驚いたのは静粛性の高さだ。BEVだから当たり前かもしれないが、これはオフロードで重要な性能になると感じた。タイヤの接地感、路面や周辺状況を把握するのに、外部から聞こえる音がオフロードでは役立つと、BEV化によって気が付かされたのだ。 伝統的な本格クロカンモデルは他メーカーにも存在するが、その中でもGクラスはいち早くBEVモデルを投入した。それはより高いオフロード性能を求めた結果という説明があったが、より多くのドライバーにとってメリットとなることを実感した。