「二人の息子の頑張りが、自分の生きる力」″番長″清原和博が語る「息子たちとの絆」
その日、都心にあるホテルのスイートルームに姿を現した男は、身長188㎝、体重はゆうに100㎏を超える巨躯を重厚感のあるスーツで包み、眼光鋭く、険しい表情でFRIDAY記者の前に立った。 酔ってFRIDAYカメラにキック! 清原和博 若獅子寮時代からの秘蔵写真 清原和博(57)とFRIDAYの関係は深い。’97年5月から’03年5月まで定期的に掲載されていた『番長日記』は、「おう、ワイや」から始まる清原調の文章と数々の写真が好評を呼び、単行本化もされた名物企画だ。 連載終了から20年以上が経過したいま、清原は当時をどう振り返るのか。ルームサービスのアイスコーヒーで喉を潤しながら、静かに語り始めた。 ◆「久しぶりにFRIDAYに出てやろうかな」 「やっぱり、私生活でも気が抜けなかったですね。でも、世間のファンの皆さんが喜んでくれているということは感じていました。 最初はいがみ合っていたんですけど、連載が進むにつれて、複雑な感情になりました。『FRIDAY、ここまでやるか!』と怒ったこともありますし、『まぁ、いいかな』と思ったこともあった。いや、良くはないか(笑)。 持ちつ持たれつの関係だったのは事実ですし、当時の記者さんと話し合って、『俺もプライベートが欲しいし、今はチームメイトもいるから、ここから先は入ってこないでくれ』と伝えたこともありました。僕が撮られることで、他の選手が撮られなければいいと思っていた節もあります。 確かなのは、僕が一番FRIDAYに登場しているアスリートだということですね(笑)。今回も、FRIDAYが創刊40周年だということで、だったら久しぶりに出てやろうかなと」 FRIDAYとの″格闘″を繰り広げていた現役時代に比べ、清原の声に勢いがないように感じた記者が体調を心配すると、清原は微(かす)かに表情を歪(ゆが)めた。 「何を言わせたいんですか(笑)。元気ですよ! 糖尿病を患(わずら)いましたが、現在は血糖値もコントロールできていますし。膝(ひざ)は相変わらず痛いですが……。 控えていた酒も、’23年3月に父が亡くなってから寂しさを紛(まぎ)らわすために泥酔しない程度に飲むようになりました。麦焼酎を麦茶で割るんです。緑茶で割ると、カフェインが入っていて眠れなくなるので……」 現在の清原を支えるのはやはり、家族の存在だ。’23年に慶應義塾高校野球部に所属していた次男・勝児(19)が甲子園に出場し、’24年は長男・正吾(22)が慶應義塾大学の4番打者としてプロ注目選手にまで成長した。 「本当に、二人の息子の頑張りが自分の生きる力になっています。勝児が甲子園に出た時は、月並みですが本当に嬉しかった。僕は甲子園の素晴らしさを十分に知っているつもりですし、勝児が同じ土を踏んでくれたことは大きい。人生の肥やしにしてほしいです。勝児が打席に入ったときに起こった″清原コール″には感動しました。 正吾は中学校、高校と野球から離れていて、6年間のブランクがあったにもかかわらず、『野球をやればお父さんが喜んでくれるから、もう一度野球をやることに決めた』と言ってくれた。本当に親孝行な息子ですよね。親として、その言葉には感謝を伝えました。しかし野球人として、『やっぱり6年間時間が空いているんだから、人の10倍、20倍練習しなければいけない』とも話しました。 正吾は驚くほどの吸収力で成長していってくれましたね。まぁ、6年間変なクセがついていない分、真っ白なキャンバスに自分を描けたのも大きかったのかな。本人の努力が実ってよかったです。遺伝だという人もいますが、いくら僕が教えたって、彼がガムシャラに練習しなければ神宮球場のバックスクリーンに放り込めるほどの長打力はつきませんから」 ◆家族の支え、そして”大魔神”からの電話 清原は事あるごとに球場へ二人の応援に駆け付けているという。 「息子二人が打席に入るといつも、自分が打席に入る時よりドキドキします。配球がわかってしまうので、『次はスライダーだ!』とか言いたくなるんですけど、本人たちも頑張っていますし、その姿を見せてもらえるだけで充分に幸せなので、何も言わず応援しています」 元妻の亜希さん(55)とは’14年に離婚しているものの、息子たちの親であることに変わりはない。二人をサポートしていく過程で再び絆(きずな)は深まり、亜希さんは「いまは、家族の関係が一番良い状況」だと話しているという。 「僕もそう感じています。別れがあって、またみんなと再会して、薬物とのリハビリも本当に苦しかったけれど、頑張ってきてよかったと思っています。自分の立場上、日本中を敵に回すこともある。その中で、唯一家族だけは自分の味方でいてくれると信じています。だから僕も大事にしたいし、大切に思っています。 家族だけでなく、友人の存在も大きかった。大魔神(佐々木主浩・56)は、折に触れて『あの人が心配してたぞ』とか、『野球界の先輩が会いたいって言ってたぞ』みたいに電話をくれています。 そんなにベタベタ頻繁に電話をする間柄ではないですが、たまに話す時間が楽しい。食事に出かけたりもします。アイツは魚釣りが好きだから、寿司を食べることが多いかな」 家族仲は良好で、自分を支えてくれる友人もいる。リハビリを乗り越え、清原は現在、着実に第二の人生を取り戻している。 ロングインタビュー後編では、指導者としての今後について、日本の今の野球界や大谷翔平選手に対する考えを清原が語りつくす。 『FRIDAY』2025年1月3・10・17合併号より
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