「マニアを相手にするのではなく…」TAJIRIが語る九州プロレスの“常識を覆す”経営論…元WWE戦士が“プロレスNPO”所属を選んだ理由
「ファンだけ相手にする方法は通用しなくなってる」
こうしてきわめて特異な形で成長してきた九州プロレスだが、TAJIRIは給与面や会社組織だけに魅力を感じて入団を決意したのではく、むしろ九州プロレスが目指しているプロレス自体に共鳴した部分が大きかったという。 「そもそも九州プロレスの目的って、『プロレスで地域を活性化させる』っていうことなんです。僕はそこに『プロレスの本来の目的はこうであるべきだよな』と共鳴したんです。本来のプロレスは、毎回観に来るマニアを相手にするのではなく、大衆に元気を与えるもの。 今のプロレス団体はどこも常連客を相手にした商売になっていることが多いけれど、限られたファンだけを相手にする方法って、もうとっくに通用しなくなってると思うんですよ。毎回、同じお客さんを相手にしても広がりはないし。それより僕は本来そうであるような、大衆を相手にするプロレスをしたかった。それができるリングが、九州プロレスだったんです」 九州プロレスに来る観客は、プロレスファンやマニアではなくあくまで一般の人たちが中心。そのため大会の第1試合前に、プロレスのルールをイチから説明するコーナーがある。 「興行の最初に子どもたちを対象にしたプロレス教室があるんですけど、あれがある意味メインイベントですよ。いちばん大事だと思いますね。いま、プロレスは地上波テレビのいい時間に放送しているわけじゃないから、プロレス業界の人たちが思っている以上に一般の人はプロレスがどういうものか知らない。 たとえば『相手の両肩をマットにつけてレフェリーがマットを3回叩いたら勝ち』なんて知らないんです。でも、他のすべてのプロレス団体の興行は、完全に知ってる前提から始まるじゃないですか。『一般の人たちはプロレスのルールも何も知らない』っていう事実に誰も気づいてないのは、すごく問題だと思います。『反則は5カウント数えられるまではOK』とか、あらゆるプロレスの常識は、外の世界では常識じゃないんですよね。こんなことばかり言ってたらきりがないんですけど、少なくとも九州プロレスの客層はマニアではない一般層なので。そこまで提示してから魅せる必要が絶対にある世界なんです」
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