築100年の古民家をきれいに整えたら、まさかの「片付けてほしくなかった」 「売れっこない」と決めつけない 難物件の再生を請け負い続けて分かった驚きのニーズ
その後は、いわゆる“難物件”でも「売れっこない」と決めつけずに「どんな空き家再生をしたら楽しいだろう」と考えるように。「好きなように自分でDIYできる賃貸借物件」「5年借りて住めばタダでもらえる」「畑管理をしてくれれば安くなる」などのニッチなニーズをとらえ、利用者を募集。あの手この手で眠っていた空き家を流通に乗せる手伝いをしてきた。
「古い家をどんどん壊して新しい家を建てようという発想は転換期にある」と柴田さん。「住まいの価値観が多様化する中で、空き家活用にもいろいろな選択肢があれば」 元々仕事でよく訪れておりなじみのあった信州・箕輪町で空き家利活用担当の地域おこし協力隊員を募集していることを聞き、応募。22年、一家4人で移住した。
今年6月、柴田さんは「カモン」で初のDIYイベントを開催。この家の元所有者、小池清史さん(87)=上伊那郡南箕輪村=も様子を見に訪れた。 小池さんは、元陸軍中佐だった父親が亡くなり、実家を相続。軍服などの遺品が残され思い入れの深い家だが、竹やぶが生い茂るなど手入れが年々大変になっていたという。 「家をどうするかが悩みの種だったところに柴田さんから話があった。(カモンのオープンを)応援したい」。生まれ変わったカフェを訪ねる日を楽しみにしている。