【ライブレポート】タイの人気スター・NuNew(ヌニュー)、日本デビュー単独コンサートが大盛況
■「今回が僕にとって初めての海外でのソロコンサートですが、ファンの皆さんがいてくれるおかげで寂しくないです!」(NuNew) タイ発のグローバルアーティスト・NuNew(ヌニュー)が、初の日本単独コンサート『NuNew 1st Concert “DREAM CATCHER” in Japan』を12月6日に東京・THEATER MILANO-Zaにて開催した。本稿ではDAYLIGHT DREAM(昼の部)の模様をレポートする。 【画像】THEATER MILANO-Za公演の様子(ライブ写真全8枚) 「アジアの真珠」と称され、タイでは「国民の息子」として親しまれるNuNew。タイ本国での人気は折り紙付きだが、その評判は世界中に波及し、各国にファンダムを抱えている。また、11月20日には「渋谷のBARで初めてのデイト」で日本デビュー。本作はオリコン5位を獲得するなどタイのアーティストとしては異例のヒットとなっている。 そんな彼のデビューと日本公演開催をお祝いするべく、ライブ前には有志のファンが新宿のユニカビジョンで応援映像を流したり、各地でお祝いイベントを開催したりと大盛り上がり。昼夜二部制で行われた本公演もソールドアウトし、大勢のファンが集った。 会場が暗転し、ベッドで寝ているNuNewが夢の世界へと飛び立っていくオープニングムービーが流れる。「Welcome to NuNew Concert」の文字が映し出されるとともに歌声が聴こえ、スクリーンが開き、きらびやかなドレスに身を包んだNuNewが登場。会場は割れんばかりの歓声で沸き、フロアはペンライトの光でピンク色に染まる。 1曲目は映画『アナと雪の女王』より「For The First Time In Forever(生まれてはじめて)」。満員の客席を見渡しながら微笑んだNuNewは、英語詞と日本語詞を織り交ぜながら美しいファルセットで魅了する。次の「Let it go」では透明感がありながらパワフルな歌で圧倒。マントを揺らめかせながらステージを舞う姿にも目を奪われる。最後には紙吹雪が雪のように降り注ぎ、幻想的な空間を作り上げた。 MCの第一声は「こんにちはー! NuNewです。ドキドキだ」という日本語の挨拶。加えて母国語で「今日は見に来てくれてありがとうございます。皆さんが楽しんでくれることを祈っています。日本のチームと、ソニーミュージックジャパンや(所属事務所)DOMUNDIの皆さん、日本のファンの皆さん。今日のイベントを成立させてくれて、本当にありがとうございます」と感謝の気持ちを伝え、「まだ緊張が解けないんだよなぁ」と照れ笑いを浮かべた。 アーティストデビュー曲「Anything」では、穏やかなメロディに乗せて甘い歌声を響かせる。楽曲の終盤ではスクリーンが開き、ベッドが出現。NuNewは「先に上に行きますね。おやすみなさい」と横になり、すやすやと眠りについた。スクリーンに「ようこそ夢のような素敵な世界へ」と表示され、舞台は別世界へ移る。 そしてインタビュー動画が流れ、NuNewが日本デビューにかける想いやファンへの気持ちを語る。幼少期からアニメ好きだったという彼は、日本の音楽に数多く触れてきた。日本デビューが決まった際には、喜びと同時に不安もあったそうだが「すべての活動を応援してくださるファンの方々に心より感謝しています。今回が僕にとって初めての海外でのソロコンサートですが、ファンの皆さんがいてくれるおかげで寂しくないです!」と明かし「今日はありがとうと伝えたいです」と述べた。 インタビューのあとは和装に着替え、日本デビュー曲「渋谷のBARで初めてのデイト」を披露。幼少期から日本のコンテンツを親しみカバーしてきた経験や、彼自身の言語の才によって、日本語詞を巧みに発音するNuNew。そのため歌詞がすっと染み入り、ファンの心を鮮やかに彩っていく。 「この曲を歌う初めての機会だったんですけど、どうでした? 気に入ってくれた?」とファンの様子を伺うNuNew。「皆さん、『渋谷のBARで初めてのデイト』を歌えますか? 先生が皆さんの宿題をチェックします!」と、突如テストが始まる。もちろん観客は完璧に合唱してみせ、NuNewは「最高です!」と感激。「この曲はひとりの力で歌うことができたわけじゃないんです。未来にはもっと日本でたくさんシングルを出せることを願ってます」と決意を述べた。 次のセクションでは、NuNewの夢の舞台である日本などアジア各国の楽曲をカバー。YOASOBIの「たぶん」ではダンサーとともにNuNewもダンスし、表現力の高い踊りやキュートな仕草にファンの目は釘付けに。 「この曲、すごく好きなんですよ。タイにいてもずっと聴いてて。次も、僕がすごく好きなアニメの曲です」と述べ、『鬼滅の刃』の竈門炭治郎の羽織を着用。「この服を着るとパワーをもらえます。刀だけがないけど(笑)」とはにかみ、日本語で「ヒノカミ神楽、壱ノ型!」と炭治郎の台詞を口にした。 炭治郎になりきったNuNewは、アニメの楽曲をカバー。DAYLIGHT DREAM(昼の部)ではLiSAの「紅蓮華」を、TWILIGHT DREAM(夜の部)では「竈門禰豆子のうた」(「禰」は、「ネ」+「爾」が」正式表記)は、を披露した。 中国のWang Yibo & Xiao Zhan(ワン・イーボー&シャオ・ジャン)の「Wuji」では、雄大なサウンドが繊細な歌声を引き立てる。韓国の歌手・Paul Kim(ポール・キム)と連名で発表した「Blooming Just For You」では、Blooming(=花が咲く)にちなんでジャケットに花が咲き乱れたスーツ姿に衣装チェンジ。 NuNewはたおやかに歌を紡ぎながら、時折しゃがみファンを見つめる。楽曲の終わりには紙吹雪が花びらのように舞い散った。 NuNewがはけてから「渋谷のBARで初めてのデイト」の振り付けレクチャー動画が流れると、会場中の観客が踊りだす。その後はダンスセクションへ突入。 再び衣装を変えたNuNewがダンサーとともに登場し、LE SSERAFIMの「Smart」とTyla(タイラ)の「Water」を踊りながら歌唱。色気たっぷりなダンスがファンの心を射抜き、歓声がこだまする。 「次の曲は、普段はふたりで歌っているんだけど、今日はひとりで歌います。もうひとりも上のほうにいるんですけどね」と、3階席に目をやるNuNew。この日はNuNewが主演し、2020年にタイで大ヒットしたドラマ『Cutie Pie』でリアン役を務めたZee(シー)などDOMUNDIに所属する俳優陣も応援にかけつけており、ファンも大歓喜。Zeeとのデュエット曲「Tidtidid」を披露したのち、爽快なサウンドに乗せて「Eh!」を軽やかに歌い上げる。 その後、“夢”をテーマにした日本での活動を追ったムービーが流れる。レコーディングやプロモーションなど、日本で活動するNuNewは常に笑顔で楽しそうだ。 映像の最後は「ぼくの夢が叶った」という字幕で締めくくられ、感動的なムードに。また、キュートな衣装に着替えたNuNewは「Unforgettable」を披露。切なさを滲ませつつ、まっすぐに歌を届けていく。 「次からの曲は、皆さん懐かしんでくれると思います。グア(『Cutie Pie』でNuNewが演じた役柄)が懐かしい人は?」と問うと、歓声があがる。「How You Feel」をしっとりと届けたのち、『Cutie Pie』の映像をバックにドラマの楽曲「JA RAKCHAN YU MAI」「AI KON NA RAK」を歌唱。客席のZeeを見つめながら歌う場面もあり、ドラマファンにはたまらない時間となった。 「True Love」で温かな空気に包まれたのち、NuNewは「『Cutie Pie』の曲たちは、懐かしかったですか? ぜひ『The Next Prince』もお楽しみにしてください」とNuNewとZeeが主演するドラマ『The Next Prince』が2025年より日本でも配信されることをアナウンスした。 ここからライブはラストスパートに突入。躍動感のあるビートに乗せて「Your Season」を披露し、NuNewは「皆さん愛してます」と改めて感謝を伝える。 「海外にひとりで歌いに来るのは初めてのことだったので、緊張したし、不安もあったし…日本語の歌詞って覚えにくいじゃない(笑)? でも、皆さんが微笑んでくれて、応援の声もあげてくれて、全然静かじゃなかったのがうれしかったです」と語り、日本語で「最高でした」述べた。 そして、Sam Smith(サム・スミス)「Lay Me Down」を力強く歌い上げる。ここまで穏やかな表情で歌を届けて来たNuNewだが、この曲では潤んだ瞳にファンへの感謝や愛が感じられるようだった。 熱烈な声援に応え、アンコールでは「渋谷のBARで初めてのデイト」のMVをバックに歌唱。大合唱が起き、ファンの心はひとつになる。NuNewは満面の笑みで「いい夢を。おやすみ」と言い残し、コンサートは大団円を迎えた。 盛況の末に幕を閉じた、初の日本での単独コンサート。本公演の成功は、タイポップの魅力が日本に伝播する第一歩とも言えるだろう。日本デビューを果たしひとつの夢を叶えたNuNewだが、まだまだ彼の夢は始まったばかり。日本とタイを繋ぐ架け橋として、さらなる活躍に期待したくなるパフォーマンスだった。 TEXT BY 神保未来 PHOTO BY 金澤正平 リリース情報 2024.11.20 ON SALE DIGITAL SINGLE「渋谷のBARで初めてのデイト」 2024.12.04 ON SALE SINGLE「渋谷のBARで初めてのデイト」 ※全国のタワーレコードおよびオンラインにて発売
THE FIRST TIMES編集部