【舛添直言】インド総選挙、「楽勝」予測の与党連合が「辛勝」に落ち込んだ3つの理由
■ 人口、経済大国インド インドは、今や中国を抜いて世界一の人口大国となった。世界の人口ランキング(2023年)を見ると、(1)インド(14億2860万人)、(2)中国(14億2570万人)、(3)アメリカ(3億4000万人)、(4)インドネシア(2億7750万人)、(5)パキスタン(2億4050万人)、(6)ナイジェリア(2億2380万人)、(7)ブラジル(2億1640万人)、(8)バングラデシュ(1億7300万人)、(9)ロシア(1億4440万人)、(10)メキシコ(1億2850万人)、(11)エチオピア(1億2650万人)、(12)日本(1億2330万人)となっている。世界の人口は、2023年現在で80億4500万人である。 しかも、中国や日本に比べて、インドは出生率が高い。6月5日に発表された2023年の日本の合計特殊出生率は1.20と過去最低となった。中国は、1.09(2022年)である。これに対して、インドが1.91(2021年)である。インドでも少子化が進んでいるとはいえ、まだ中国や日本よりも人口が若い。 経済成長率(2019~2023年の平均値)は、IMFによると、インドが7.7%、中国が5.9%、ブラジルが2.3%、ロシアが1.5%、アメリカが1.8%、日本が0.6%である。 IMFの見通しでは、インドのGDPは、2025年には日本を抜き、世界第4位に、2027にはドイツも抜いて第3位になるという。 習近平政権は中国で活動する外国企業や外国人に対する規制を強化しており、中国に代わってインドに進出する日本企業が増えている。 政治的にもインドは国際社会の中で重きをなしつつある。2023年5月に開催されたG7広島サミットにはインドも招かれたが、それはG20議長国としてであった。9月9、10日には、ニューデリーでG20の首脳会議が開かれた。 20カ国から成るG20は1999年に始まったが、G7および欧州連合(EU)にロシア、そして当時新興国と呼ばれたアルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、韓国、サウジアラビア、南アフリカ、トルコを加えた集団である。これら12カ国が、その後目覚ましい経済発展を遂げたことは周知の通りである。 その国々のうち、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国を、国の頭文字をとってBRICSと呼ぶが、これらの国々は、2000年以降に大きな経済発展を遂げたことが特色である。 BRICSは、「グローバルサウス」と呼ばれる「南」の新興国・発展途上国の代表として、G7に対抗する勢力として存在感を増している。世界銀行のデータによると、人口では、G7が約7億8000万人、BRICSが約32億5000万人、GDPでは、G7が約43兆8000億ドル、BRICSが約25兆9000億ドルである。 2024年、BRICSにサウジアラビア、イラン、UAE(アラブ首長国連邦)、エチオピア、エジプトが新たに加盟し、さらに大きなブロックとなる。アルゼンチンも加わる予定であったが、昨年12月に就任したミレイ大統領は、親米・反中国の姿勢を鮮明にし、加盟申請を撤回した。