”いってらしゃい”安心して言い合える社会に 池袋暴走者事故遺族の願い
沖縄テレビ
5年前、東京・池袋で起きた車の暴走事故で妻と娘を失った松永拓也さんが25日西原町で講演し、事故の被害者や加害者を生まない社会づくりのために活動を続けたいと語りました。 松永拓也さん「2人と生きる日々人生は心から幸せでした。」 松永拓也さんは5年前、東京・池袋で起きた当時87歳の男性が運転する車が暴走した事故で妻の真菜さんと3歳の娘莉子ちゃんを亡くしました。事故の後、生きる意味が分からなくなったという松永さんは・・・。 「夜中屋上まで上がって死のうと思ったんだけど真菜と莉子の声で”お父さん死なないでほしい”と言われた気がして。」 交通事故は現実に起こるもの。松永さんは誰も事故に遭わない未来に繋がればという思いで遺族として多くの人に自身の経験や辛い記憶を伝えてきました。 松永拓也さん「この動画を大切にしていて誰しもが『いってらっしゃい』『いってきます』『ただいま』『おかえり』と安心して言い合える社会になってほしい。」 事故の加害者で服役していた男性が10月、老衰のため93歳で亡くなったことを受けて、松永さんは8カ月前に面会した際のことを振り返りました。 「世の中の高齢者の方に伝えたいことはありますかと伝えたところ、ほとんど言葉は喋れなかったんですけれども、その質問だけははっきり答えたんです。世の中の高齢者の方に免許を返納するように伝えてください。」 「彼の言葉を勝手に託されたと思っているので、彼の加害者になってしまった経験。彼の言葉というのも糧にして、真菜と莉子の命も、私たち遺族のこの経験も、彼の加害者になってしまったという経験や言葉も無駄にしないように。こういった活動を続けていきたいと彼の死を受けてより強く思っています。」 松永さんは高齢者が運転免許を返納したあとの生活を支える社会づくりが大切だとしたうえで二度と同じ過ちが繰り返されないように1人ひとりが出来ることを考えて欲しいと訴えました。 池袋の事故は高齢ドライバーが起こした事故としても当時全国的に報道され、県内でも事故の翌年、運転免許を自主的に返納したいという人が前の年の1.5倍、5200人あまりに増加するなど社会に大きな反響を与えました。
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