プレミアの“顔”三笘薫が背負う期待と懸念。日本代表で躍動も、ブライトンで見え始めた小さくない障壁
「万全の準備」と「きめ細かい体のケア」を徹底した吉田麻也も…
いわゆる“欧州組”にとって、日本代表戦におけるこうした長距離移動と過密日程は避けることのできないハードルである。特にプレミアリーグは肉体的に消耗度が激しく、サムライ戦士には代表とクラブの両立は小さくない障壁だ。 例えば、レスターでプレーした岡崎慎司。レギュラーを務めた2016-17シーズン、日本代表戦後のチェルシー戦(2016年10月)で、岡崎はベンチメンバーから外れて欠場した。 岡崎にケガでもあったのかと、日本人記者を含めてレスターを追いかけるジャーナリストの間でちょっとした騒ぎになったが、当時の指揮官クラウディオ・ラニエリは落ち着いた様子でこう説明した。 「シンジはケガで欠場したわけではない。日本代表戦で長距離移動を強いられた。今のシンジは本当のシンジではない。彼の兄弟だろう」 白髪混じりのベテラン監督は冗談っぽくそう語った。代表戦後の岡崎は体力を消耗しており、普段の彼とは違う──。それゆえ、メンバーから外したと明かした。 サウサンプトンで長年プレーした吉田麻也も、日本代表戦後は先発から外れることがあった。吉田の場合は、機内での睡眠時間の調整、サプリメント摂取など「万全の準備」と「きめ細かい体のケア」を徹底し、代表との両立を図っていた。帰宅が午前0時をまわっても、そこから個人トレーナーに体をマッサージしてもらい疲労を溜めない工夫もしていたと言う。 その吉田が代表戦での長距離移動の過酷さを訴えたことがあったように、欧州でプレーする日本代表メンバーには、クラブと代表の両立は永遠のテーマのように思う。
過密日程が始まった9月から調子を落とした昨シーズン
昨シーズンの三笘を振り返ると、プレミアリーグとUEFAヨーロッパリーグ(EL)、日本代表戦による過密日程が始まった9月から調子を落とした。その後、12月に足首を負傷。今季も10月、11月に日本代表戦を控えているだけに、コンディション維持を含めてここから体調管理が極めて大事な時期に入る。 三笘は、過密日程への対策について次のように明かす。 「しっかり休むことが大事。試合のリカバリーを大事にしないと疲れが溜まっていく一方なので。トレーニングと休養でしっかりとメリハリをつけないといけない」