ほうじ茶シロップ コラボ次々 ゼリーやリキュール、プリンは給食提供 富士の老舗洋食店が開発
富士市本町で創業89年を迎える老舗洋食店「レストラン名花堂」が開発したほうじ茶シロップのコラボ製品が、次々と誕生している。シロップの優しい甘みと豊潤な香りを生かした製品は、給食のデザートやリキュールなど多種多様。同店の野口幸次さん(49)は「老若男女が地元の名産に親しむ機会を少しでも増やしたい」と意気込む。 同市は茶産業を盛り上げるため、自治体を挙げてほうじ茶のブランド化に取り組んでいる。2021年の「富士市ほうじ茶宣言」を受けて開発したほうじ茶シロップ「焙茶香幸」は、茶葉を粉砕して高密度で抽出。癖のない甘みと香りを引き出した。原料となる茶葉の提供や製造などは市内の企業に依頼した。ことし8月には、富士商工会議所の地域ブランド品に認定された。 富士一小では8日、給食のデザートにほうじ茶シロップを使用したプリンが提供された。笑顔でプリンをほお張る児童の表情に、レシピを考えた同校の栄養教諭もほっとした様子。野口さんは今後、市内全校での提供を目指すという。 乳製品製造などのいでぼくグループ(富士宮市)が手がけるカフェ「カウ・リゾート・イデボク」は、コラボメニューを販売する。新鮮なジャージー牛乳を使ったパンナコッタにほうじ茶ゼリーをトッピングした。同カフェの駒林雅人さん(49)は「さっぱりとしながらもコクがあるゼリーと濃厚なパンナコッタが絶妙なコラボ」と強調する。 活用は甘味だけでない。富士錦酒造(同市)とは、大人向けにほうじ茶のリキュールを開発中。食品製造の斎藤食品(富士市)とは、茶がらを使用した焼き肉のたれの商品化も進めているという。 大阪での修行を経て28歳で家業を継いだ野口さん。「せっかく新しいことを始めるなら近所の企業を巻き込んで、とことん街を盛り上げたい」と思いを語る。
静岡新聞社