吉本新喜劇・島田珠代(53)「高校2年生で吉本入り」女を捨てようと覚悟したあの日
でも、舞台出たらやってしまう、また怒られる、でもやってしまう(笑)。最初はお客さんも全然笑ってくれません。 東野さんと今田さんが座長になって、私の変な動きにいちいち上手につっこんでくれてお客さんが笑うようになって、だんだん古株さんも怒らなくなりました。そこから自信がついて、プラスの波にのれましたね。 ── ご自身の芸風がいかされてよかったですね。最初の当たり役は何ですか? 島田さん:舞台上でだれかにつかまえられて、助走をつけて壁に激しくぶつけられる“壁ぶつけ”ですかね。これは新喜劇では三枚目やブサイクキャラが担当する伝統芸です。
演出家の先生が新しく入った女の子たちを舞台に並べて、一人ひとり顔を見ていくんですよ、じっくり三往復くらい。 で、私の顔見て「ブサイクはおまえや!壁ぶつけ、お前がやれー!」って(笑)。私はもう、「やったー!」って声上げたのを覚えています。こうして“壁ぶつけ”の権利をいただきました。 ── 島田さんの“壁ぶつけ”は、ワイルドであと味がいいです。 島田さん:それまでの人たちは、壁にぶつけられるだけで終わっていたんですけど、女性が泣き寝入りみたいになるのは、なんか嫌だなと思っていました。
ウーマンリブの時代も来ていましたから、「しめしめ」と思って、ぶつけられた後に「優しいのねぇ~」など全然問題ない、とつけたすよう工夫しました。これが私の最初の当たり役です。
■「笑っていいとも」に抜擢されるも自信喪失に… ── 吉本興業が東京進出した勢いにのり、島田さんも東京の番組に出て全国に知られるようになりましたね。 島田さん: 大阪しか知らない、勢いだけでやっていた22歳の子がいきなり『笑っていいとも』のレギュラーなんて、それは浮かれましたよ~。
でも、『笑っていいとも』に出演されている方って若くても味があるし、おしゃべりが上手なんです。いきなり、お前行ってこい、という感じで東京行ったんですけど、私、そういう才能も実力もないし、東京の人は「誰?」ってなるし、すごく空回りしていました。 当時はマネジャーさんなしで、ひとりで衣装と靴もって、朝4時半に起きて、スタジオアルタに8時半到着。本番を終えて、夕方の新喜劇の舞台に間に合うように大阪に戻りました。焦って余裕ないし、実力もない。いつも反省しながら帰りの新幹線に乗っていました。