被災地の子どもたちに笑顔を 避難所を巡る「ピッコロ劇団」 「殺気立つ」子どもも・・・ 「災害を忘れられる時間を共存したい」
ピッコロ劇団の記録誌を見ると、孫さんが当時感じていたことがせきららに綴られています。 「とにかく子ども達には嫌われた。顔を洗っていたら、後ろから女の子が『あんた鬼やろ!』と。『そんなん知らんよ』と言うと、『嘘つくな!』と蹴りをくらった。」 それでも、懸命に「赤鬼」を演じました。
「そのときだけ地震を忘れられた」 観劇していた男性は
29年前、この劇を見ていた男性に会うことができました。 濵口昌彦さんは当時、難波小学校の6年生でした。家の倒壊は免れ、家族4人も無事でしたが、家具などが倒れてきたといいます。 そのような状況の中、劇が披露されることを知った濵口さんは2歳下の妹と2人で劇を見に行きました。 「元気をもらいました。そのときだけでも地震のことを忘れて、普段の、地震が来た日までの楽しさというのを味わえた。本当に楽しませてもらった」
52ヵ所の避難所へ 子どもたちと向き合った2ヵ月で得たものとは
ピッコロ劇団は子どもたちに向けて演劇を続け、約2ヵ月間で52か所の避難所を回りました。 その後、東日本大震災でも地元の劇団と一緒に子どもたちに元気を届け、活動は全国に広がりを見せます。 被災した子どもたちと向き合った29年前。あのときの活動で得たものとは・・・ 「一瞬だけでもいいから忘れられる時間。そういう時間が共存できたのではないかなという気がします」(辰寿さん) 「演劇は、演じる人を一方的に見るんじゃなくて、みんなも参加することが可能なものだと思うんですよね。演劇の力で、元気になっていったらいいなって思いますね。」(孫さん)