「私に特別な能力があった訳ではありません」コカ・コーラを日本一売った営業マンの"シンプルな習慣"
■家具店の真ん中にファミレスさながらのドリンクバー 案内してくれた店員さんが去った後、店長が来るまでのちょっとした時間に徳田に相談します。「ここをお客さんが自由に飲料を飲めるスペースにしたらどうだろうか。サービスで飲料を提供してくれて、ゆっくりと品定めができる家具店というだけで、他の店を大きく引き離すことができるんじゃないか。大勢のお客さんも喜んでくれると思うし、この店にとっても悪い話じゃない。ウチにとっても新しい売り場をつくることができる」 しばらくして店長がやってきました。手持ちのフードサービスの機材カタログを彼の前に広げ、急ごしらえの提案です。結局「お客さんが喜ぶなら、やってみよう」という店長の一言で機材を置いてもらえることになりました。 飲料ビジネスとはまったく関係がないと思われる家具店の店内の真ん中にファミリーレストランさながらのドリンクバー。これまでの感覚では考えられません。部長から宿題でもらった問いの答えの一つを思いもかけない現場で見つけることができたのです。 ■「ウチの会に出てみないか」シェフからの誘い 高知オリエントホテルでビヤガーデンをスタートさせるという情報が入ってきました。早速、アポの電話を掛けるとフロントの方が料理長(*岡林シェフ)につないでくれ、なんとか商談の時間をいただくことができました。 商談が始まりましたが、岡林シェフの話にひたすら耳を傾けて聴き役に徹します。こちらからは岡林シェフの要望や意見に応じて小さな提案を行うだけで、商品や機材の説明はほとんどできない状況でした。 しばらくして、シェフから思いもよらない一言。「よし、じゃあ、頼んだよ。後のことはここの担当者と段取りを進めてくれるか。任せたからな」「え、ありがとうございます。あのぉ……」。状況が理解できずに戸惑う私。 「あ、それからウチの会に出てみないか、いろんな業者が来ているから何かの足しになるかもしれんぞ。司厨士協会の集まりなんだが、是非顔を出してくれ」 後で調べてみてわかったのですが、司厨士協会は「西洋料理」を専門とした料理人の方々で構成されている全国的な組織でした。プロの調理師で構成されている組織なので、レストランやホテルや大きなアミューズメント施設の食を担っている方が名を連ねています。この会の人たちがその後の新規開拓の大きな力となったのです。