開業は早くても10年遅れの2037年!? リニア新幹線建設の悲惨な現状!!
――27年以降になるのは前々からわかっていたこと。例えば、リニア車両基地(前出)が10年遅れになるのは把握していますか? 工期は11年ですが、未着工です。 「JRからは『工期を短縮する』と聞いていました」 ――「27年以降」の公表までは、県は27年開業を信じていたのですか? 工期11年が2年になると? 「はい」 ここでわかったのは、県が工事の遅れについて積極的な情報把握をしていなかったことだ。次いで、相模原市のリニア駅周辺まちづくり課に電話してみた。 ――27年にはリニア駅周辺で閑古鳥が鳴きます。そのご懸念は? 「いつでも駅前開発ができるよう基盤整備をするのがわれわれの仕事。JRのスケジュールには縛られません」 相模原市は約330億円の市税を投入し、リニア駅へのアクセス道路を5本新設する予定だ。相模原市の住民が懸念しているのは、このうち最長の「大西大通り線」(920m)がリニアトンネルのほぼ直上に計画され、約100世帯が立ち退き対象になる点だ。トンネル予定地の直上に住む竹内安夫さんはこう断言する。 「JRはトンネル建設する場合、地権者から『区分地上権』(地下使用の権利)を取得する必要がある。でも、地下わずか20m前後の掘削では騒音や振動がひどく、ひとりでも反対したら工事できない。だから、私はこの道路計画は、リニア実現のために私たちを追い出す手段ととらえている」 確かに、道路計画が都市計画として決定されたら、土地収用法により住民は立ち退き対象になる。竹内さんたち住民の多くは、道路建設に必要な測量も拒否する構えだ。 筆者はまちづくり課に「27年以降になる以上は、用地買収も遅らせるのか」と尋ねたが、回答は「予定どおり進める」というものだった。 昨年8月、道路計画へ反対する住民と本村賢太郎市長との対話が実現したが、住民の多くから「半世紀以上も暮らす自宅も工場も捨てろというのか!」との批判が続出した。 市長は「多くの方にご理解いただいていない以上、今後も対話は続ける」と約束したが、「計画は変更しない」とも強調した。リニアが来ない27年に、市は何を実現しようというのか。