私立大の理工農系学部は学費が23万円減免 「もらえるかも?」と迷ったら、とにかく奨学金の申請を
兄弟姉妹の年齢に注意
では、「わが家は修学支援新制度に当てはまるのではないか」と思ったら、何をしたらいいのでしょうか。全国の高校や大学で保護者を対象に講演している奨学金アドバイザーの久米忠史さんは、いくつかの注意点を挙げます。 「理工農系学部については、『進学するかもしれない』で構いません。キャンセルも可能ですので、可能性があるなら申請しておくことをおすすめします。一方、多子世帯について注意したいのは、子どもの人数です。ここで言うのは扶養する子どもの人数で、例えば3人兄弟でも、1人が大学を出て就職して扶養を外れたり、高卒で就職して扶養から外れたりした場合は多子世帯ではなくなります。ただ、子どもの人数は毎年6月に確定する住民税で見ますが、住民税が参考にしている情報は前年12月末現在のものです。ですから、実年齢だけでは何とも言えないところがあります。また、大学院生は制度の対象ではありませんが、子どもには含まれます」 年収の基準についても、「600万円という数字が先走りしている」と久米さんは言います。JASSOのサイトを見ると、実際は家族構成によって740万円程度まで幅があるため、よく確認する必要がありそうです。 さらには、子どもの年齢にも注意です。子どもが19歳以上23歳未満の場合、特定扶養親族といって、保護者は63万円の控除を受けられ、住民税額も軽減されます。JASSOのサイトを見ると、「高校生向け」と「学生向け」という2つの資料があるのはこのためでもあるようですが、高校では18歳までを対象とした「高校生向け」の資料しか配布されません。でも、大学入学後に子どもが特定扶養親族になったことで、入学前の「予約採用」には通らなかったものの、入学後に「在学採用」を申請したら採用される世帯も少なくないのだといいます。 「制度はかなり複雑ですから、頭の中が『?』でいっぱいになってしまいますよね。だから私が奨学金の講演会などでお伝えするのは、ダメかなと思っても、あきらめずに申請してほしいということです。そもそも高校3年の6月に申請して採用されても、お金が入るのは大学入学後です。さらに、給付型奨学金に採用されたり、学費減免の対象になったりしているとしても、足りなくなるかもしれません。可能性があるものは、とにかく申請しておきましょう」
朝日新聞Thinkキャンパス