4度の延長が続く極限状態の60分ゲームを制した白鷗大学が2連覇達成(インカレバスケ・女子決勝)
切磋琢磨するライバル対決が見据える明るい未来
10月27日、関東大学女子リーグ戦の最終戦での同じカードは、30点差をつけて白鷗大学が勝利。「たぶん、そこからうちへの対策をしてきたのではないか。だから、他の試合で苦労したんだと思います」と佐藤監督は敵将の意図を読む。インカレでは初戦の大阪人間科学大学から劣勢に立たされ続け、東京医療保健大学はいつ負けてもおかしくはない試合内容だった。 恩塚監督はパリオリンピック後に女子日本代表ヘッドコーチ退任、10月から古巣の東京医療保健大学へ復帰。リーグ戦ではスタンドで見守っていたが、「プレーの強度が求めているものとは違ったので、練習の内容や組み合わせを変えた」とテコ入れし、本格的に練習に参加した当初は選手たちも音を上げるほど追い込んだ。インカレまで「逆算した限られた時間の中で何ができるか。それだけを考えて練習してきた」と恩塚監督はなりふり構わず、1ヶ月余りの練習では白鷗大学へのリベンジに懸けてきた。30点差で負けていた相手に対し、変わらぬメンバーで4度の延長まで苦しめたのは成長の証でもある。「自分たちの可能性に蓋をすることなく信じて戦った選手たちは大きな誇りであり、喜びを感じています」と労うとともに、「勝たせてあげたかった」と悔やむ。 6年連続同じ顔合わせとなったインカレ決勝であり、毎年のように激戦を繰り広げるライバル対決に佐藤監督は明るい希望を感じていた。 「ありがたいことに恩塚君は良いバスケをしてくるので、こちらとしてもいろいろ考えなければいけない。そうすることでレベルがどんどん上がって行く。それは我々だけではなく、他のチームもいろんなことを考えるので、彼が戻ってきたことでレベルアップし、大学女子バスケ界全体が良い流れになると考えています。選手たちは本当に一生懸命に打ち込み、ここから日本を強くする代表選手が出てくると思っています」 激闘を終えた4年生の中には、これからWリーグへ向かう選手も多い。白鷗大学のアマカは、昨年ともに日本一に輝いた三浦舞華と田中平和がいるトヨタ自動車アンテロープスへ進む。舘山も日立ハイテク クーガーズの即戦力として期待される。佐藤はプレステージ・インターナショナル アランマーレ、高田は山梨クィーンビーズへ進み、優勝経験を引っ提げてWリーグ プレミアへの昇格を目指す。東京医療保健大学の #21 野坂葵は新潟アルビレックスBBラビッツへ、#3 イベ エスター チカンソと #52 松本新湖は東京羽田ヴィッキーズでもチームメイトとなる。日本を強くする大学出身選手たちの今後の活躍もぜひWリーグで追いかけていただきたい。
泉誠一