「はい、これ」 中身100万円 甘利氏、車中で茶封筒手渡す 選挙の「裏金」
陣中見舞いの原資は政策活動費か 甘利氏は8060万円受領
政治資金は政治団体や政党を通じてやりとりするのが原則で、双方が収支報告書に載せる必要がある。甘利が愛知に提供した100万円で考えると、報告書に記載しないことが認められているのは「政策活動費」くらいしか考えられない。 政策活動費は、政党が政治家個人に支出する。受け取った政治家がどう使ったかを報告する義務はない。制度上の欠陥を突き、与野党双方が自由に使える「裏金」として活用してきた。 19年の自民党の収支報告書を見ると、甘利は1月23日に500万円▽5月8日に1560万円▽6月6日に1千万円▽6月24日に5千万円―を受領。7月4日に始まった参院選までに計8060万円の政策活動費を受け取っていた。何に使ったのかは書かれていない。
甘利によると、この参院選で同じく激戦になっていた広島選挙区(広島県)でも自民党公認候補の河井案里の夫で元法相の克行(61)に100万円を渡した。 甘利が元法相に渡した100万円もやはり、甘利が関係する政治団体の収支報告書に記載されていない。それが発覚したのは、元法相がこの参院選で起こした大規模買収事件がきっかけだった。捜査を進めていた検察当局が元法相の自宅を捜索した際に裏金提供疑惑を示すメモを発見、押収していたのだ。 メモはA4判。「総理2800 すがっち500 幹事長3300 甘利100」と手書きで記されていた。関係者によると、検察当局は、当時首相だった安倍が2800万円、官房長官だった菅義偉が500万円、党幹事長だった二階俊博が3300万円、甘利が100万円を提供した疑いがあると分析していた。ただ、元法相は取り調べに応じず、安倍ら4人の幹部を任意聴取することもなく、捜査を終えていた。 昨年9月、中国新聞が関係者への取材でこのメモの存在をつかみ、報道した。故人の安倍を除く全員を取材した結果、菅と二階、元法相の3人は現金のやりとりを否定したが、甘利はメモの記載通り100万円の提供を認め「選対委員長として陣中見舞いで届けたと思う」と説明。全国の党公認候補の陣営へ一律に渡した陣中見舞いだったとし、原資は党の資金だったと述べた。陣中見舞いの原資は政策活動費だった可能性が高まっている。