電気料金値上げの理由「再生可能エネルギー」賦課金は有効に使えているのか
まず日本では
まず日本の木質バイオマスのエネルギー利用の問題点を挙げておこう。 最初の問題は、本来、建築用材として使える資源までもが燃料として燃やされている点だ。 請け負う業者は、木を伐ることで、補助金や手数料などを原資とするお金が手に入る。収益アップを目指すには、とにかく量を伐ればいい。とにかく買ってもらえればいい。バイオマスプラント向けの伐採は、適当な長ささえあれば、どのような伐り方がされていようが、なんでも引き取ってくれるため、伐り手にとっても容易な仕事だ。 困ったことに、伐採後、植林をしなければならない状態でも、それを怠っている業者が多い(エネルギー利用だけが原因ではないのだが)。結果として、「伐りっ放し」の山林が全体の6,7割に達すると推定されている。これは土砂災害の危険も招くことになる。これではまったく自然に良いとはいえないではないか。
成功する条件
林業先進国オーストリアはどのように再エネのための資源を生み出しているか。 オーストリアに原子力発電所はない。エネルギーの国内生産のシェアは大体3割で、この国内生産のうち、約半分がバイオマスによるエネルギーである。エネルギーの2割弱がバイオマスによるものである。 その際の燃料で最も多いのが製材から出る大鋸屑(おがくず)等いわゆる副産物(3割超)、次は昔から使われてきた薪(25%)、あとは紙パルプ産業から出る廃液や家庭ゴミ等である。全体で見ると、森林由来の木質バイオマスが8割を占める。 これらは、ほぼ国内で調達されている。 このように、オーストリアで、木質バイオマスのエネルギー利用が進んだのは、「再エネ利用は自然に優しい」というお題目だけが理由ではない。もっと合理的な理由があるのだ。 木質バイオマスのエネルギー利用が、既存の林業や製材業、そしてエネルギー消費の構造において存在する意味を獲得している点が大きいだろう。 どういうことか。もう少し詳しく説明しよう。