アウトドアメーカー列伝【vol.03】機能性やデザインにこだわり、必要な人に届くアイテムでありたい。登山家・竹内洋岳氏のアウトドアブランド「Peakfourteen®」
ブランドを通して竹内さんを知ってもらいたい
1995年(平成7年)に、竹内さんが初めて8000m峰を達成した標高8463m・世界第5位のマカルーに登頂した当時は、インターネットも衛星写真も普及しておらず、未踏のチベット側から未踏の東稜の初登攀を狙うルートであったことから、ベースキャンプへアプローチする道も手探りで、登頂ルートも不明という時代でした。ルートがない中で、登山隊を編成して、ベースキャンプへのアプローチ方法や、どのルートなら雪崩を避けられるかなどを探り、まさに探検をしながら進んだと言います。 「今はベースキャンプまでヘリコプターで向かうことができますし、インターネットや衛星写真も普及して多くの登頂者の記録もあるので登頂のルートも以前に比べると容易に調べられる時代になっています。昔のように手探りで登っていた時代から、今現在の新しい登山まで、竹内は登山の進化の過程を一通り見てきている人でもあるのです。 また、8000m峰の山々は、酸素と気圧が平地の3分の1しかありません。標高が上がるに従って酸素が薄く、呼吸が困難になるため酸素ボンベを使用して登るのがスタンダード。しかし、竹内は14座中11座で無酸素登頂を果たしています。そういうチャレンジをしている登山家がいるということを、アイテムを通してもっと知ってもらいたいというのが、Peakfourteen®を作った理由でもあります」と戸田さんは言います。 例えば3776mの富士山でも山頂では平地に比べて酸素量は3分の2となるため、酸素が薄くなり人によっては頭痛やめまいなどの症状が現れます。8000m峰を無酸素で登るというのは誰でもできることではありません。
自身がプロデュースする実用的なアイテムの数々
『Peakfourteen®』では、竹内さんがプロデュースするアイテムを制作し、ネットショップ『14select』で販売を行っています。 「竹内自身がデザインや素材選び、機能性や収納性、携行性にもこだわった商品作りに関わっています。登山家が実際に山登りやアウトドアを楽しむ際に必要としている工夫が盛り込まれているアイテムなので、同じように必要としている方も多く、毎日商品も売れていてニーズはあるんだと実感しています。 万人向けの商品というよりは、欲しい人の手に届いてもらいたいと思って作っているので、それが形になって見えるのは嬉しいことです」とお話してくれました。 次回は、14selectで扱うアイテムや、商品に込められた想いをご紹介します。
やまだともこ