【本城雅人コラム】有馬記念、出走取り消しのドウデュース…残念だったが、ひと足先に次の戦いに挑む 産駒誕生楽しみ
◇中央競馬コラム「ぱかぱか日和」◇22日 第69回有馬記念(G1・中山・芝2500メートル) 有馬記念は今年もドラマチックだった。レガレイラとシャフリヤールの壮絶な叩き合い。2頭ともここ数戦、勝ち切れないレースが続いたが、大舞台で見事に復活させた関係者には頭が下がる。ましてレガレイラは、昨年のホープフルSを牡馬相手に勝ったことで、皐月賞、日本ダービーと牡馬路線を使い、クラシックは無冠に終わった。同世代のノーザンファーム生産馬はステレンボッシュ(桜花賞)、アスコリピチェーノ(阪神JF)、チェルヴィニア(オークス、秋華賞)がいるのだから、どれだけレベルが高いのか。最優秀3歳牝馬のタイトルはどの馬が取るか、その行方も気になる。 名牝スターロツチ以来、64年ぶりの3歳牝馬の勝利。来年は牝馬が主役を張りそうだが、残念なのは史上最多得票を得たドウデュースが出走取り消しになったことだ。ただ私は、ドウデュースはひと足先に種牡馬の戦いに入ったのだと思っている。 種牡馬としても成功するだろう。そう思うのは初めて土がついた弥生賞ディープインパクト記念(2着)の直後、武豊騎手が「夏はジャックルマロワ賞かムーランドロンシャン賞に行きたいですね」とポツリとつぶやいたからだ。いずれもフランスのマイルのGⅠ。私はその瞬間、武豊騎手はドウデュースをマイラーと評価していると思った。のちに「距離は持ちますよ」と言われ、早合点だったと気づくのだが、あながち間違いでもなかった。というのも武豊騎手は皐月賞以降、後方で足をため、直線でものすごい脚で追い込んでくる形にレーススタイルを変更、スピードに勝る馬に距離をもたせるという神業で、次々と王道GⅠを勝たせていったのだ。 競走馬として高く評価されるのはドウデュースが勝ってきた2000~2500メートルの距離だが、種牡馬としてはスピードが大事で、マイラーとしての資質も求められる。秋古馬三冠とグランプリ連覇は見られなかったが、スピードを受け継いだ産駒が大レースを勝ちまくる姿が今から楽しみだ。 (作家)
中日スポーツ