リコーがリアルタイムで会話を可視化するサービス、聞こえない人も会議に参加しやすく
ユーザーにやさしいデザインと処理スピードの両立
――「Pekoe」を開発する上で、苦労したところはどんな点ですか。 開発の中で苦労したところは、情報を速く、そして見やすく表示する方法を見つけることでした。最初の案では、文字が表示されている間、その枠が大きくなったり小さくなったりするデザインでした。しかし、聴覚障害を持つチームメンバーから、文字を長時間追っていると目が疲れてしまうという意見をもらいました。このとき初めて私たちのデザインに問題があることに気づきました。 そこで、表示する文字の行数をどれくらいにするか、試作品を作って意見を聞くことにしました。結果、文字の行数は3行が最も読みやすいということになりました。その後、別の会社の当事者からは、表示枠の大きさを自分で調整できるようにしてほしいという要望があり、それにも対応しました。 ――「Pekoe」における技術的革新点は何か教えてください。 「Pekoe」は、聞こえにくい人だけでなく聞こえる人も便利に利用できる多様な機能を搭載しています。誤変換を迅速に修正できるユーザーエクスペリエンス(UX)、文字起こしの不明点を指摘できる機能、そしてテキストを発話する機能(公開準備中)、外部装置なしでリモート会議の音声を高精度に文字起こしする機能、リアクション機能などです。 誤変換を迅速に修正可能なユーザーエクスペリエンス(UX)は、テキスト枠をタッチするだけで即座に修正可能で、枠外をタッチすることで確定できるため、操作は2ステップで完了します。一般的な文字起こしアプリは4ステップかかるところが多いので、それと比べると簡単に早く操作を完了することができます。このようにユーザーフレンドリーなアプローチにより、より効率的で理解しやすいコミュニケーションを支援しています。 文字起こしの不明点を指摘できる機能は、社内実践の際に聴覚障害を持つ社員から、発言の変換結果が不明瞭な場合に「わからない」と気軽に伝えられる機能が欲しいとの要望があり、追加しました。聞こえる人は音と文字の両方でコミュニケーションを取れますが、聞こえにくい人は文字情報のみに依存しているため、変換誤りによる理解の難しさを改善する必要がありました。指摘した不明点はピンク色で目立つように表示されます。