会場騒然、井上尚弥もあ然 37歳ドへニー腰痛め7回TKOの珍決着 突如腰押さえ、顔しかめる コーナーで動けず、肩借り引き揚げる 6回に負傷
「ボクシング・4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチ」(3日、有明アリーナ) 【写真】おなじみの布袋から新顔の大物芸能人、五輪金メダリストまで!客席が豪華すぎる 元IBF王者のTJ・ドヘニー(37)=アイルランド=が、4団体統一世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥(31)=大橋=に挑んだが、7回TKO負けに終わった。通算成績は26勝(20KO)5敗となった。キャリア初のKO負けとなった。 当日の体重が発表され、井上は前日計量から7・4キロ増の62・7キロ、ドへニーは11キロ増の66・1キロ。今回も11キロ増と大幅に増やしてきた。 1回は慎重な立ち上がり。距離を測るドへニーに、井上が時折強烈な1発をみせる形で時間が過ぎた。2、3回は慎重な展開が続いた中で、ロープ際で井上が強烈な右を繰り出しながら追い詰めていったが、ドへニーもうまく距離をとって、交わしていく。 4回は互いに手数が増えていき、ドへニーも強烈な左を見舞っていく。井上は右ボディから打開していくと、終了間際に強烈な右を打ち込んだが、ドへニーは大丈夫と言わんばかりに手を広げた。 5回、ドへニーの左ボディを受けながらも井上が徐々に前へ、主導権を握っていくと、6回は互いに手数が増えて、打ち合いに。しかし、徐々に井上がパンチ力の違いで押し込んでいき、完全に井上ペースになった。 7回はゴングから井上が一気に前に出て、ボディを連打したところで、ドへニーが負傷。腰を痛めたか、突如右の腰をおさめながら足を引きずるようなジェスチャーをみせ、レフェリーが試合を止めた。 まさかの決着に井上はちょっとあ然とした表情。消化不良の決着に観客は困惑し、どよめき。足早に会場を後にする姿もあった。 試合後、ドへニーは井上に声を掛けにいった後、コーナーに倒れ込み、動けない状態となり、関係者2人の肩を借りながら、痛々しい姿で花道を引き揚げた。 試合後の会見には出席しなかった。代わりにヘクター・バミューデストレーナーが会見に出席し、「怪我の状態、今現在は大丈夫。その前に神経が痛んでいた。前のラウンドですでに痛んでいた。その痛みが増した」と、説明した。プロモーターのマイク・アルタムラ氏は「パンチがあたり、腰の神経を痛めてしまった。7回にさらに悪化してしまった」と語り、ドへニーのメッセージとして「もし明日続きができるならやってみたいぐらいの気持ちでいる」と本人の無念の思いを明かした。 ◇TJ・ドヘニー(TJ DOHENY)本名テレンス・ジョン・ドヘニー。1986年11月2日生まれ、アイルランド出身。オーストラリア在住。2012年にプロデビュー。18年、岩佐亮佑に判定勝ちでIBF世界スーパーバンタム級王座獲得。19年、王座陥落。23年、中嶋一輝にTKO勝ちでWBOアジアパシフィック同級王座獲得。戦績26勝(20KO)4敗。サウスポー。愛称はザ・パワー。身長166センチ。リーチ173センチ。