「楽しかった」と振り返る同学年対決 ソフトバンク前田純、プロ初勝利を挙げた思い出の一戦でつかんだ手応え
ソフトバンクの選手が今シーズンを振り返る年末恒例のプレーバック企画「鷹戦士あのプレー」。第5回は、プロ初勝利を挙げて飛躍の年となった前田純投手(24)の登場だ。 ■「あの小さかった真凜ちゃんが…」秋山幸二さん長女が花嫁姿【写真】 育成2年目で迎えた今季は7月下旬に支配下登録され、ウエスタン・リーグで10勝を挙げて最多勝となった。189センチの長身から投げ下ろす角度のある真っすぐに加え、緩急と丁寧にコースをつく投球が持ち味の左腕が振り返るのは、1軍デビュー戦で初勝利した9月29日の日本ハム戦(エスコンフィールド)だった。 ◇ ◇ ◇ デビュー戦の相手となった日本ハムは若手が活躍しており、対戦した打者には同学年が多かった。「1軍にいる同学年の選手と対戦できてうれしかったし、楽しかった」。前田は感慨深く振り返る。 最初の同学年対決は、昨年の現役ドラフトでソフトバンクから日本ハムに移籍した水谷瞬外野手だった。「同じチームだったし、1番バッターだったので打たれたくなかった」。初回、外角高めの真っすぐがボール。2球目は真ん中のカーブを見逃してストライク。外角に真っすぐとチェンジアップを高低に散らすなどして、6球目に外角低めのチェンジアップで三ゴロに仕留めた。「サードへのいい当たりで栗原(陵矢)さんが取ってくれた」。2打席目は3回二死。外角低めのカーブを2球続けて三ゴロにした。 同学年の中でもっとも実績があるのが、万波中正外野手だった。「横浜高校の時も、プロでもすごかった」。〝雲の上〟だったスラッガーとの対戦は2回だった。5球続けて真っすぐを投げた。3ボール2ストライクになった6球目、真ん中にチェンジアップを投げ込み、空振り三振。「真っすぐでファウル(にした球)が後ろにいっていて、捉えられてないなと思ったし、チェンジアップも自信がついた」と胸を張る。 勝利投手の権利がかかる場面でも同学年対決が待っていた。3点をリードした5回2死一塁では、奈良間大己内野手に粘られて8球目、真ん中のチェンジアップを投げ込んで右飛とした。「ランナーがいて、一番の踏ん張りどころ。球にも力が入った。抑えられたので、今日はいけるかなという感じになった」 6回81球を投げて3安打5三振、無四球、無失点の力投に「2軍でやってきたことは変えずに、相手バッターが苦手なコースに(球を)ちらつかせて、真っすぐやチェンジアップの持ち味で抑えようと意識した」とうなずいた。 沖縄・中部商高時代はベンチに入れず、高校時代は苦しんだが、同学年のライバルと同じ土俵にいることが何より楽しかった。「来年も戦いたい」。来季は先発ローテーションに入り込み、多くの同学年の打者と対峙(たいじ)することを心待ちにしている。 (浜口妙華) 【#OTTOソフトバンク情報】
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