阿部監督「勝負をかけたんだけど」…7年ぶりの松本市での巨人戦、マウンドは遠く見えた
中日2―1巨人(セ・リーグ=2日)――中日は五回に福永の2ランで逆転した。小笠原は七回途中1失点で、マルティネスは25セーブ目。巨人は力投の山崎伊を援護できず、終盤の好機も生かせなかった。
試合後、巨人の阿部監督は「勝負をかけたんだけど……。そこで打てなかったら負けるし、打っていたら逆転で勝っている」と振り返った。その言葉が指していたのは、好投を続けた相手先発の小笠原が降板した後の八回。相手がわずかに見せた綻びを、突ききれなかったことだ。
長野県松本市での巨人戦は7年ぶり。試合前、マウンドの確認をした巨人の投手たちは「遠く見える」と口々に違和感を語ったという。マウンドからホームベースまでの距離は、いつもと同じ18・44メートル。選手の声を聞いた球団スタッフは「少し傾斜がなだらかみたい」と錯覚を起こす要因を分析した。
慣れない環境は相手も同じ。八回、中日の3番手松山が制球を乱した。先頭の代打・立岡は冷静に見極めて四球で出塁する。指揮官は送りバントのサインを出さず、上位打線に託した。しかし、1番丸は2ボールから高めの直球を打ち損じて中飛。2番吉川はカウント3―1から低めの直球に手を出して一ゴロ併殺に倒れた。
選手たちも、強攻策をとったベンチの意図は十分にくみ取っていた。丸は「とにかくヒットを打つ」との一心で打席に向かい、吉川も「『打て』のサインだったので思いきっていった」と語った。ただ、丸は「ボール球だったから、欲を言えば我慢できればよかった」と反省も口にした。
この日はあと一本が出ず、打線の状態は一進一退を続ける。だからこそ、阿部監督は「力むのはしょうがないんだけど、そこをコントロールして、つなぐ意識をもっと出していくのが大事」と好機での集中力を求めている。(財津翔)