米国債オプション、一段の急激な売りを警戒-10年物利回り4.5%視野
(ブルームバーグ): 米大統領選挙が間近に迫る中、トレーダーらは、今後の重要な局面で債券の損失がさらに拡大し、ボラティリティーが高まると見込んでおり、米国債のオプション市場では、弱気のトーンが広がりつつある。
11月5日に投票日を迎える大統領選を巡っては、次期政権下で財政刺激策が強化されるとの臆測がある。そうなれば、経済成長およびインフレの加速とともに、米国債の発行増加につながるとの見方が一部要因となり、米国債利回りは今月すでに大きく水準を切り上げている。
ただ、オプションのトレーダーは、米国債売りがさらに活発化するリスクを警戒。トレーダーが新たに保有するポジションの規模を示す未決済建玉は、5月以来の高水準となる10年債利回りの4.5%を視野にしていることを裏付けている。
11月末までに10年債利回りが現在の4.3%程度から約0.2ポイント上昇するとの予想を反映した水準に行使価格を設定したプットオプションは、ここ最近の取引で増加傾向にある。10年物国債オプションの12月限では、この行使価格109.50ドルのプットポジションが足元で最も積み上がっている。
ポジションには多少の変動が見られるものの、未決済建玉は約10万7000枚程度と、高止まり状態にあり、トレーダーが債券相場の大幅安に備えたヘッジを維持していることが反映されている。
大統領選以外にも、米金融当局の利下げ動向を見極める上で重視される米雇用統計が11月1日に発表されるほか、同6、7日には連邦公開市場委員会(FOMC)会合が控えるなど、短期間に多くのリスクが待ち構える状態にある。
債券市場のボラティリティーリスクを示すICE・BofA・MOVE指数は28日に年初来の高水準で取引を終えた。今後は一段と大きな相場変動が見込まれ、先物市場におけるレバレッジ解消が長期化する可能性もある。
一方、JPモルガン・チェースが公表した最新の米国債顧客調査によると、現物債市場では、トレーダーのポジションが中立に近づく傾向が示されており、持ち高調整の動きが進んでいる面もある。