賠償額220万円…「Colabo名誉毀損裁判」判決が暗示するネット空間の“深刻な問題”
インターネット上のデマ拡散や誹謗中傷によって名誉を傷つけられたとして、虐待・性暴力の被害に遭った少女らを支援する「一般社団法人Colabo」が発信元の「暇空茜」を名乗る男性に総額1100万円の損害賠償を求めていた訴訟で18日、東京地裁は男性に220万円の損害賠償と投稿の削除を命じる判決を言い渡した。 被告男性(暇空茜名義)の判決後のX(旧Twitter)投稿 判決は、原告の主張する事実を全面的に認め、被告の主張を全面的に退けたうえ厳しく断罪する内容だった。他方で、賠償額は原告が主張した請求額の5分の1の220万円にとどまっており、名誉毀損訴訟が抱えるさまざまな課題が浮き彫りになっている。
争われた事実と裁判所の判断
本件で争われた事実は、被告男性が2022年9月以降、ブログとYouTubeへの投稿により原告・Colaboと代表の仁藤夢乃氏の名誉を毀損したというもの。 名誉毀損は、摘示された事実が真実か否かにかかわらず成立する。ただし、事実に公共性があり、かつ、公益目的があった場合には、摘示した事実が真実であったことを証明したときには免責される。また、真実性を証明できなかったとしても、真実と誤信するにつき相当な理由があったときには、免責される(最高裁昭和41年(1966年)6月23日判決等参照)。 今回の訴訟ではどうか。被告男性による投稿内容は、Colaboと仁藤氏が、虐待や性暴力から逃れてきた少女たちを手狭な部屋(「タコ部屋」)に共同で居住させて生活保護を受給させ、1人毎月6万5000円を徴収して利益を得ているというものだった(判決文P.18、P.20参照)。 判決は、これらの投稿内容について「いずれも真実であるとは認められないし、被告において(中略)真実であると信じたことについて相当な理由があるとも認められない」と断じている(判決文P.28)。 なお、本判決は「公共性」「公益目的」については明言していないものの、以下の通り、一連の投稿が私怨によるものとの指摘を行っている。 「被告が自らの好む漫画やアニメなどのコンテンツを批判する原告仁藤に対し強い敵意を抱き、原告らを批判する動機がそのような点にあることを自認しているもので(中略)上記活動報告書等の記載をあえて曲解している可能性を否定できない」(判決文P.27)