「初激白」今江敏晃前監督が電撃解任後、初めて語る楽天の「真実」
野球人生を左右する重い決断
「チームは軸になる選手、そこを支える選手、またその下で土台になる選手という順番で上からピラミッドの形になっていないといけない。しかし大きな軸となる浅村栄斗や則本昂大のように経験、実績がある選手が他のチームに比べると少ないというのもありましたが、なによりそこに追いついていく選手を育てていかなければならない状況でした。 下から底上げをしてそこを増やして、さらに軸になっていってもらう。とにかく全体的にチームをレベルアップしていかないと優勝は見えてこないと考えていました」 しかも抑えを務めてきた松井裕樹がFAでメジャー挑戦を決めたことで、いきなり難しい決断を迫られた。 「若くて経験、実績がどちらかというと乏しい投手が多いイーグルスの中で則本は1番の軸となるピッチャーでしたから、やはり彼に引っ張っていってもらわないといけない。ですからキャプテンにも任命しましたし、クローザーもお願いしました。 でも本当に悩みました。彼はずっと先発ピッチャーをやってきて、通算200勝を達成する可能性もある。野球人生を左右してしまう、この決断は非常に重いものでした。それだけにセーブ王のタイトルを取ってくれたのは嬉しかったです」 その則本が抜ける先発陣の柱に期待したのは早川隆久だった。入団1年目から先発ローテーションを担ってきた左腕だが、持っている能力を考えればその成績は少し物足りなく映っていた。 「大役を任せることによって自覚が出てきて、いい方向に行ってほしいと思って開幕投手に決めました。もっともっとできると思いますけど球団創設から初めて左ピッチャーとして2桁勝利をしてくれた。その結果も、やっぱり嬉しかったですね」 その開幕戦は0対1で敗れたが、早川は8回途中1失点と期待に応えて、殻を破るシーズンをスタートさせた。3戦目にサヨナラ勝利で監督初白星を挙げたが、その後は少しずつ借金が増えていく我慢の船出。 さらに5月21日にはソフトバンクを相手に0対21の記録的大敗。すでに体は悲鳴を上げ始めていた。