『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』神山健治監督がハリウッド超大作に抜擢された理由とは?
■用意された制作期間はたった2年 脚本もなし
『ロード・オブ・ザ・リング』の知られざる200年前の物語を、神山健治監督がアニメ映画化した『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』(12月27日公開)。このハリウッド超大作のディレクション担当になぜ日本人監督である神山が抜てきされたのか、本作のプロデューサーを務めるジョセフ・チョウが明かす製作秘話とともに迫る。 【写真】アニメ映画『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』フォトギャラリー J.R.R.トールキンの原作を基に、ピーター・ジャクソン(監督/共同脚本)によって映画史にその名を刻んだファンタジー超大作『ロード・オブ・ザ・リング』3部作。その最終章「王の帰還」日本公開から20年の時を経て、『ロード・オブ・ザ・リング』の知られざる200年前の物語が、初めて映画化される。 偉大な王ヘルムに護られ、騎士の国ローハンの人々は平和に暮らしていた。だが突然の攻撃を受け、美しい国が崩壊していく。王国滅亡の危機に立ち向かうのは、ヘルム王の娘である若き王女へラ。最大の敵となるのは、かつてヘラと共に育ち、彼女に想いを寄せていた幼なじみのウルフだった。大鷲が空を舞い、ムーマクは暴走、オークが現れ、金色の指輪を集める“何者”かが暗躍し、白のサルマンが登場…。果たしてヘラは、誇り高き騎士の国と民の未来を救えるのか?“あの指輪”をめぐる壮大な冒険へと繋がる、まだ誰も知らない伝説の戦いの幕が開ける。 このハリウッド超大作『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』の監督に抜てきされたのは、世界中の熱狂的ファンに支持をされている日本アニメーションの第一人者、『東のエデン』『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』『精霊の守り人』で知られる神山健治。製作総指揮には『ロード・オブ・ザ・リング』3部作、『ホビット』3部作全てを手掛けたピーター・ジャクソンも名を連ねる。 神山監督を起用するきっかけを作ったのは、彼とともに『攻殻機動隊SAC_2045』の制作を手掛けたスタジオ・Sola Entertainmentの代表で、本作のプロデューサーを務めるジョセフ・チョウ。チョウは日本でスタジオを興す以前は、アメリカのワーナー・ブラザースでプロデューサーをしていた。その経歴から、日本のアニメをプロデュースしていたワーナー・ブラザースのジェイソン・デマルコより2021年末に『ロード・オブ・ザ・リング』のアニメ映画化の打診を受ける。 当時チョウは、実写化ではなくアニメ化での依頼に驚いたが、続けて制作期間がたったの2年かつ、脚本の用意がないという状態を重ねて聞かされ驚愕したそう。さらに、どのスタジオもクリエーターも3年先までスケジュールが埋まっており、完成には困難な道のりが予想された。そんな中、本作を引っ張っていく存在として神山監督に白羽の矢を立てたのだ。