「再エネ業界のウーバー」目指す台湾のスマート電力企業HDREの挑戦
台北に本拠を置く太陽光発電所開発企業、HDリニューアブル・エナジー(HDRE)は9月26日、台湾証券取引所のメインボードに上場した。同社には、台湾の富邦金控(フーボン・フィナンシャル)が出資している。 以前は台湾イノベーション・ボード(TIB)に上場していたHDREの時価総額は289億台湾ドル(約1300億円)に達している。同社の2023年度の業績は、売上高が前年比15.4%増の58億元(約261億円)、利益は17.3%増の9億9120万元(約45億円)だった。また、今年上半期の売上高は前年同期比5.4%増の22億元(約99億円)で利益は同4.6%減の2億5140万元(約11億円)だった。 台湾では、アップルやグーグルなどのハイテク大手に部品を供給するサプライヤーが顧客のカーボンニュートラル目標を達成しようと努力する中、ソーラーパネルなどのグリーンエネルギーに対する需要が高まっている。こうした状況に対応するため、HDREをはじめとする再生可能エネルギー企業は、今後数十年間で飛躍的に生産能力を増強する必要がある。 HDREには、富邦金控のベンチャーキャピタル部門である富邦金控ベンチャーキャピタルが出資しており、株式の5.8%を保有している。今年6月、富邦金控ベンチャーキャピタルは、同社の再生可能エネルギー部門である富邦グリーンパワーに110億台湾ドル(約495億円)を出資した。 同月、富邦の子会社は、HDRE傘下のスターパワーから合計440万キロワット時のグリーン電力を調達する契約を締結した。保険会社のキャセイライフもHDREからグリーン電力を調達している。 HDREは、太陽光発電所の建設のほか、充電・蓄電システムの開発や再生可能エネルギーの販売を手掛けており、日本やオーストラリア、フィリピンにも進出している。 HDREの顧客は、同社のグリーンエネルギーを使ってAIプログラムを稼働させているが、HDRE自身も電力供給と価格設定の管理にAIを活用している。同社は昨年、グリーンエネルギーの生産と消費を管理するスマートエネルギーシステムであるTITANの開発を支援するため、台北に本拠を置くBeseyeを1億台湾ドル(約4億5000万円)で買収した。 ■再生可能エネルギーのウーバー目指す 「再生可能エネルギーは常に安定したものではないため、必ずしも需要を満たせない可能性がある。だからこそ、発電量と使用量を予測するためにAIアルゴリズムの開発が必要なのだ」と、HDREの共同創業者でゼネラルマネージャーのチョウ・シーチャンは昨年行われたインタビューで語っている。