日本とスペインで違う「カフェ事情」。メニューも膨大、甘めでぬるめが人気
お店もお客の細かい要望にも慣れっこ
メニューの中でも、スペインの人たちにいちばん人気なのは「Café con leche=エスプレッソ50%、牛乳50%」です。ミルクたっぷりで甘め、温度も少しぬるめが好まれています。熱々を好まないのは、猫舌の人が多いという説と、ミルクの風味を変えないため、という説があるようです。 お湯やミルクが別の器で提供されたり、コーヒーに浸すビスケットが必ずセットだったり、店舗により様々な特色があります。また、オーダーに戸惑っていると「牛乳はどれくらい? 熱め? ぬるめ? 砂糖は?」と聞いてくれます。自分の好みで細かくカスタマイズできるのもスペインカフェのよさです。
日本のようなアイスコーヒーはない?
また、スペインには日本のようにアイスコーヒーという概念がなく、メニューでもあまり見かけることはありません。もしお店にあって注文した際は、熱々のエスプレッソと氷がゴロゴロ入ったグラスが到着し、自分で氷のグラスにエスプレッソを一気に注ぎ入れます。アイスコーヒー用のガムシロップやミルクもないため、先に砂糖やミルクをエスプレッソに溶かしてから氷へ。キンキンに冷えたイメージとは少し異なりますが、これがスペイン風アイスコーヒーなのです。
自宅でもコーヒー時間を楽しみます
スペインのほとんどの家庭が、コーヒーメーカーを持ち合わせていると言われています。スーパーにはカプセル、スティックなども多種類揃い、遅い時間帯になると空棚となり需要の多さに驚きます。以前のホームステイ先でも毎朝いい香りがし、学生たちにも好みの味を飲ませてくれました。 なお私達へはマグカップに注いでくれましたが、ステイ先のパパはガラスコップを愛用。スペインは昔から温かい飲み物もガラスコップで提供される習慣があり、とくに年配の方は、コーヒーはガラスコップで飲むものだと考えている方も多いようです。店舗でもお願いするとガラスコップに入れて提供してくれます。
スペインではその人なりのカフェの楽しみ方がある
スペインのコーヒーは、エスプレッソコーヒーがベースとなり、苦いのが苦手な人は少しきつく感じるかもしれません。だからこそミルクの量を加減して自分好みに仕上げて飲むんです。地元の人たちが毎日通うカフェでは、メニューにはない「その人なりの分量」が阿吽(あうん)の呼吸で出てくるとも聞きます。まさに第二のリビングです。 思えば私のスペインカフェ初体験は1年半前。スペインへ到着した1週間後、初めての週末でした。どんな観光地よりも、まずは現地のカフェに行ってみたくて意気込んで店頭まで行ったものの、「コーヒー1つください」という言葉が言い出せずに尻込みしてしまい、結局日本でも見慣れたチェーン店で指差し注文しかできませんでした。 あの日おびえていた、たった1杯のカフェ注文。その後、注文もお店選びもたくさんの失敗を繰り返しながら、今では行きつけのカフェが家よりも心地よく感じる空間となりました。スペインの人たちにとっても、毎日通うお気に入りのカフェには、きっとその人だけの大切な思い出が詰まっていることと思います。
Rita