直前中止 市民ら落胆 土浦花火大会 打ち上げ筒、客席撤去 宿泊キャンセル「大打撃」 茨城
「日本三大花火大会」の一つとして知られる土浦全国花火競技大会の中止が発表され、花火師やとび業者らは1日、打ち上げ筒や観覧席などの撤去作業に追われ、ホテルでは宿泊キャンセルが相次いだ。90年以上の歴史を誇る花火大会。市民らからは「残念だが仕方ない」など落胆の声が上がった。 茨城県土浦市佐野子の桜川河川敷では同日午前、とび職人約30人が桟敷席の撤去作業に当たった。土浦とび職組合の川島一男組頭は「とてもショック。9月初めから約160人動員して準備してきたが、こればかりはしょうがないね」とため息をついた。 花火の打ち上げ場所に近い商業施設駐車場では、「森煙火工場」(同県筑西市)の花火師らが10号玉の打ち上げ筒をトラックに詰め込んだ。森武社長によると、打ち上げ筒を設置したのは先月30日。森社長は「何カ月もかけて準備してきたので、今は気持ちの整理が付かない」と話した。社員の大橋健一さんは「中止を決めた主催者、花火師、ほかの関係者、みんな悔しいはず」と複雑な表情で語った。 過去の大会で内閣総理大臣賞を複数回受賞した「野村花火工業」(水戸市)の野村陽一社長は「たくさんの人に花火を披露できなくて残念だが、また良い花火を打ち上げたい」と前を向いた。 つくば国際大高はこの日、全校生徒が大会のために市街地でごみ拾い。すでに大会中止が決まってからの実施だったが、高井隆哉さん(3年)は「幼い頃から見てきたので中止は驚いた。来年は多くの人に来てもらいたい」と話した。 大会本番に向けて観光客迎え入れの準備を進めていた飲食店やホテルではキャンセルが相次いだ。 JR土浦駅に近い「東横INN土浦駅東口」では2日、124室全てが満室となる予定だったが、1日午後2時現在でキャンセルの連絡が32件あったという。 大会で限定の「花火弁当」を提供する予定だった「土浦市食のまちづくり検討委員会」の堀越雄二委員長によると、各店では仕込みが終わり、詰め込み作業の段階だった。「直前の中止となると、市の観光には大打撃だ」などと語った。
茨城新聞社