【大学野球】不思議な縁で結ばれていた東大・平田康二郎、鈴木太陽 勝ち点奪取のために必死にプレー
東大野球部で同級生に
【9月22日】東京六大学リーグ戦 明大3-0東大(明大2勝) 不思議な縁で、結ばれていた。 2019年夏の西東京大会2回戦。国立高が西高を5対0で「都立高校進学校対決」を制した。西高のエース・平田康二郎にとって最後の試合。対戦相手の2年生・鈴木太陽は国立高の四番・三塁だった(同秋からエース)。 平田は一浪、鈴木は現役で東大の門をたたいた。鈴木は「新入部員名簿を見た時に『あのときの投手だ』」と、親近感がわいたという。東大野球部では同級生。4年が経過し、最上級生2人は学生ラストシーズンを戦っている。 東大は早大との開幕カードを連敗(0対20、1対12)スタート。投手陣の立て直しが急務となり、大久保裕監督の指示の下、改めてストライク先行、四球撲滅を共有した。 明大との第2週。初めて1回戦の先発を任された渡辺向輝(3年・海城高)が8回無失点の力投を見せた。ところが、0対0の9回表から救援した平田が明大の主将・宗山塁(4年・広陵高)に先制ソロを浴びると、相手打線の勢いを止められず、打者14人の猛攻で一挙10失点した。平田は1/3を7安打7失点で、三番手投手にマウンドを譲っている。 試合後、生活拠点である一誠寮に戻ると、鈴木は早速動いた。平田を食事に誘い、ステーキで活力をつけたのだ。「3年生・渡辺の投球に、刺激を受けました。自分たち4年生も負けられない。平田は東大のエースですから、元気を出してもらわないと困りますからね」。 明大2回戦で鈴木は7回2失点と試合を作った。8回からリリーフした平田はこのイニングを1失点。試合は0対3で敗れ、東大は開幕4連敗となった。鈴木は「結果的に負けは負けですが、7回を2失点にまとめた。インコースの真っすぐが良かった」と手応えを得た。主将・宗山を2打数無安打に抑え、第2打席では「もう1個、ギアを上げて押し込む」と、ストレートで詰まらせ、投飛に封じた。 早大1回戦では三番手で救援も、一死も奪えず降板した。2回戦は四番手で1回無失点と立て直し、明大1回戦は被安打3、緩急を駆使し、持ち味の打たせて取る投球が光った。残るは慶大、法大、立大との3カードであり、次戦につながる投球を見せた。 鈴木は開幕前にこう語っていた。 「チームとして一つでも多くの勝ち星を挙げられるように、個人として、攻守ともに貢献できるように頑張ります。投手として勝利投手になり、その試合で、自分のバットで打点を挙げることができれば一番良いと思います」 明大2回戦で好左腕・毛利海大(3年・福岡大大濠高)から今季初安打を放った。明大とのカードを通じて渡辺、鈴木の先発2人から、良い形で平田に託す一つの戦い方が確立された。鈴木、平田とも今秋で野球は一区切り。勝利、そして勝ち点奪取のために戦う。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール