『ふてほど』『地面師』『虎に翼』…年末年始におすすめ! 一気見したい注目ドラマ5選
寒さと人混みを避けて家でまったり年末年始を過ごす人は多いはず。そんな人にはドラマの一気見がオススメだ。2024年に放送され、現在動画配信サービスで配信中のドラマを5本紹介したい。先に謝っておくと、普段ドラマを見ない人向けの選出になっている。ドラマ通からすれば「定番どころばっかじゃん!」と眉を顰めたくなるかもしれないが、その辺りはご容赦願いたい。 【関連写真】一気見必至、Netflixシリーズ『地面師たち』場面カット 1本目は現在、「NHKオンデマンド」や「U-NEXT」などで配信中のNHK連続テレビ小説『虎に翼』。日本初の女性弁護士・判事・裁判所所長となった三淵嘉子氏をモデルに、法曹界に飛び込んだ猪爪寅子(伊藤沙莉)の人生を描く。放送後には毎回SNSで感想が飛び交うほどの話題作であった。 女性が法曹界で活躍することは前例がなく、寅子をはじめ進学先の明律大学女子部の学友はさまざまな壁にぶつかる。寅子が無事に弁護士として働き始めた後も、女性ということを理由に依頼が来ず、“女性は家庭を守ることが役割”という空気に気圧されて心がボキボキに折られるなど、かつての女性の生き辛さが描かれるシーンが多い。とはいえ、寅子たちが生きている数十年前と、今現在の女性に対する価値観があまり変わっていないことにも困惑する。 本作が描くのは女性の苦境だけではない。戦争の愚かさや、声を上げた人々の努力が今の社会の豊かさを支えていることなど、今を生きる私たちが胸に留めておかなければいけない教訓をいくつも示す。朝ドラは全話視聴するのに時間を要するが、『虎に翼』はテンポが良く、ストーリーも魅力的であるため一気見は全く苦にはならない。
コンプライアンを考えたくなるあのドラマ
2本目は「Netflix」や「U-NEXT」などで配信されている、宮藤官九郎が脚本を務めた『不適切にもほどがある!』(TBS系)。1986年から2024年にタイムスリップした中学校の体育教師・小川市郎(阿部サダヲ)が、昭和と令和のコンプライアンス感覚の違いに戸惑いながら奮闘する姿を描いた作品だ。 市郎は娘に「起きろブス! 盛りのついたメスゴリラ!」と声をかけたり、野球部の練習中に「水飲むな、バテるぞ」と指導したりと、令和の価値観では許されない発言を繰り返す。昭和の“普通”の非常識さに笑いつつも、令和の“普通”も過剰に映る場面があり、両時代を皮肉りながら笑いに昇華させる。ただのコメディに留まらず、「コンプライアンスの本質とは?」を考えさせられる社会派作品でもあり、宮藤の相変わらずのセンスが光る。 また、宮藤脚本のドラマで言えば、2024年9月に放送された「TELASA」や「U-NEXT」などで配信されている『終りに見た街』(テレビ朝日系)も見ると、『不適切にもほどがある!』の面白さをより噛みしめられるかもしれない。こちらは現代のテレビ脚本家・田宮太一(大泉洋)とその家族、さらには太一の旧友・小島敏夫 (堤真一)とその息子・新也(奥智哉)が1944年にタイムスリップし、戦時中の価値観に直面する物語だ。ストーリー終盤に子供たちが軍国主義に感化され、新也が多様性を否定する場面はとても印象深い。どちらも時代を超えて価値観を問う興味深い作品であり、時間があれば併せて視聴してほしい。