ESA木星氷衛星探査機「Juice」月と地球でのスイングバイまであと2週間
複雑な月-地球スイングバイは一歩誤ればミッションの終了にもつながりかねません。Juice探査機のオペレーションマネージャーを務めるIgnacio Tancoさんはその危うさについて「とても狭い廊下を非常に素早く通過するようなもの、道幅の余裕が数mmしかないのにアクセルを限界まで踏み込むようなものです」とコメントしています。すべてのマヌーバ(姿勢や軌道の制御)においてリアルタイムで高い精度が求められることから、中央ヨーロッパ夏時間2024年8月17日から22日までの期間中はJuice探査機と地上局の間で継続的に通信が行われます。オペレーターはJuice探査機から送られてくるデータを昼夜問わず常時注意深くチェックし、正しい飛行経路を維持するために必要な微修正を行うことになります。 なお、スイングバイ中はJuice探査機に搭載されているカメラで撮影が行われる他に、10の科学機器も起動されます。一部の機器については木星系へ到着する8年間の旅路の間で特定の測定が行える唯一の機会だといい、科学者とエンジニアにとっては機器の較正や残された問題の解決などを行う機会になります。特に、氷衛星の表面下9kmまでを探査する氷衛星探査レーダー「RIME(Radar for Icy Moon Exploration)」のデータは他の機器に由来するノイズに乱されているといい、ノイズが及ぼす影響を確認して問題を修正するアルゴリズムを開発するために、月スイングバイではRIMEが8分間にわたって単独で観測を行うということです。 Source ESA - Juice’s lunar-Earth flyby: all you need to know ESA - Juice lunar-Earth flyby media kit
sorae編集部