【ハイライト動画あり】ラグビー日本代表、ウルグアイ代表に我慢の勝利。齋藤直人が力強いプレーでチーム救う
齋藤不在の間に1トライを奪われ、18-20と逆転された日本だが、後半10分に戻った齋藤がぐいぐいとチームを引っ張る。12分にはウルグアイのゴール前ラインアウトからモールを組むと、奪われそうになったボールを齋藤がもぎとって左タッチライン際にいたWTBジョネ・ナイカブラにパス。ナイカブラが左コーナーにトライを決めた。キャプテンの力強いプレーで23-20と逆転。その齋藤が、21分にPGを決めて26-20とリードを広げる。
さらに得点を重ねたい日本だったが、またしても悪夢のような出来事が起こる。ワーナー・ディアンズが相手の頭部にコンタクトする危険なタックルでレッドカード(退場処分)を受けたのだ。14人で残り15分を戦うことになり、再び苦境に陥った日本だが、数的不利の状況も想定して練習していた選手たちは冷静だった。齋藤がPGを追加して、29-20とし、最後はディラン・ライリーがダメ押しのトライをあげたのだ。
このトライは自陣に攻め込まれたモールから途中出場のLOサナイラ・ワクァがボールをもぎ取ってパスをつないだもの。後半15分に交代出場で入ったニコラス・マクカランがSOに入り、先発SOの松永は東芝ブレイブルーパス東京で主にプレーするFBのポジションに移動していた。その松永が大外でボールをもらってディフェンダーを抜き去り、ライリーにつないだ。松永は「FBのほうが自分にフォーカスしやすかった」とコメント。最近はプレー時間が少ないSOでの先発は精神的な重圧もあったのだろう。キックには精彩を欠いたが最後は持ち前のラン能力で魅せた。
齋藤キャプテンは「カードが2枚出る不利な状況でもファイティングスピリットを失わず勝てたことは若いチームにとって大きい」と話し、エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチも「とても難しいゲームでしたが、イエロー、レッドの際の対応は落ち着いていました。一歩前進です」と一定の評価をしていた。ディラン・ライリーは次のようにコメントした。「どんな試合にもタフな時間はあります。とくにSHを失うのはタフです。また自陣でプレーしすぎたとも感じます。しかし、きょうは忍耐力を見せることができました」
数的不利に対応できたことはチームの自信になっただろう。なにより連敗で停滞していたチームの雰囲気を変えるという意味でもこの勝利は大きい。しかし、チャンスでスコアできず、不用意な反則やキックが伸びずに自陣に押し込まれたことは大きな反省点。「ディフェンスのコミュニケーションが上手くいかなかった」(下川)というように、ダブルタックルができずに突破され、オフロードパスをつながれる場面も多かった。ツアー最終戦はフィジカルもスキルもニュージーランドやフランスと同レベルのイングランドが相手だ。プレッシャーの中でいかにプレーの精度を高められるか。数少ない強豪国とのテストマッチの機会を大切に戦いたい。
村上 晃一