電動キックボードのポート（広島市中区）

　一定の要件を満たす電動キックボードを免許なしで運転できるようにした改正道交法の施行から7月1日で1年になった。広島県内では4月1日時点で個人やレンタル事業者などの281台が登録され、うち広島市は143台で半年前の5倍に増加した。ポート（貸出・返却場所）も増える中、利用者からは「手軽に乗れる」と好評。一方、車のドライバーからは危険な走行を懸念する声も上がっている。 電動キックボードの乗り方は？ 　電動キックボードなどのシェアリング事業の「Luup（ループ）」（東京）は昨年7月末に広島市内でポート40カ所に30台を備えてサービスを始めた。同社のポートは現在約200カ所といい、この1年で5倍に。同社は車両の数も増やしているとする。 　昨年7月施行の改正道交法は、最高時速20キロ以下などの条件を満たした電動キックボードなどを「特定小型原動機付き自転車」に分類。改正前はミニバイクと同じ扱いだったが、運転免許証なしで公道を走ることができるようになった。自治体が交付するナンバープレートは必要で、4月1日時点の登録は広島市が県内最多の143台。福山市31台、呉市15台、府中町12台などと続く。 　広島市道路管理課は「免許なしで気軽に乗れるようになり、利用者も増えている」とみる。 　一方で交通違反の増加を懸念する声もある。電動キックボードは原則、車道の左端走行。タクシー運転手の男性（48）は「広島市中心部で連日見るようになったが、歩道と車道の行き来や逆走も目立つ。ぶつかりそうになり、ひやっとする時もある」と明かす。 　県警は法改正以降、今年5月末までに道交法違反容疑で利用者10人に交通反則切符（青切符）を交付した。法定速度を超えた歩道通行が6件、2人乗りが2件、信号無視と歩行者用道路の通行が各1件。人身事故はなかった。 　4月に発足し、取り締まりやルール啓発に取り組む県警自転車小型モビリティ対策室は「ルール順守はもちろんだが、努力義務のヘルメット着用など安全第一で乗ってほしい」としている。