指示待ち社員ばかりの現場が実践すべき「ワークアウト」とは?
結果の創出と人材育成の両立
ワークアウトを実践して得られるものは数多くありますが、特に大きなポイントが2つあります。 1つは戦略を立案する、新商品のコンセプトを立てるなど、組織を動かす当事者である社員が主体となって考え、行動し、「具体的なアウトプット」にたどり着くことを目的としている点。もう1つは、そのアウトプットを導く過程で人材を育成する点です。 言い換えると、結果を創出するコンサルティングだけではなく、人材を育成する研修だけでもない、その両方を同時に実現するための「プロセスコンサルティング」であるということです。
人材を育てる事は事業を育てる事にもつながる
ワークアウトを通じて、社内に主体的な人材が育つとともに、社員同士、そして社員と経営トップが対等に会話し、共に考え、行動し、検証を重ね、意思決定を下す、といった「ミドルアップダウン」の文化が形成されていきます。ミドルアップダウンとは、ボトムアップでもトップダウンでもない組織的な意思決定のプロセスです。 さらに、こうした「人材」と「文化」に加えて、ワークアウトを通じて育まれるものはもう一つあります。それが「事業」です。人材を育てることは事業を育てることにもつながります。具体的に、ワークアウトのテーマ設定、つまり先に述べた「具体的なアウトプット」には様々ありますが、大きく分けると次の3つになります。 ①既存事業の進化......例:営業戦略、マーケティング戦略など ②新規事業の構築......例:新商品、新サービスのコンセプト開発など ③事業を支える本社業務の進化......例:採用基準、人事制度の刷新、業務改善など こういうことが現場から主体的かつ自発的に行われるようになることが、ワークアウトの成果です。そして、こうしたテーマに分類される具体的な問いを通じて、考え、実行と検証を繰り返しながら人材が育っていきます。つまり、実践と育成を掛け合わせたものになるのですが、その結果として人材だけでなく、事業も育成されていくのです。
三坂健(株式会社HRインスティテュート代表取締役社長)