「バカすぎる」と市民から怒りの声…まさかの戒厳令!日本人カメラマンが見た「韓国国会前集会」現地撮
12月3日22時30分過ぎ、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が突如として「非常戒厳」を宣布した。宣布の内容としては「国政はまひ状態で、北朝鮮に従う従北勢力を一挙に撲滅する」という理由で、金龍顕(キム・ヨンヒョン)国防相が軍に体制強化を命令し、軍が国会に向かったのである。 「弾劾」プラカードを手に…国民が集結した共に民主党の集会を現地撮【写真】 非常戒厳は1979年の朴正熙(パク・チョンヒ) 暗殺事件以来45年ぶり。しかも1987年の民主化宣言以降初めての非常戒厳となった。 尹大統領は求心力の低下や夫人の汚職疑惑などさまざまな理由により支持率が大幅に低下。このため、非常戒厳を宣布するというクーデターを行い、自身の保身に走ったのである。 ◆議員が特殊部隊ともみ合い…国会は大混乱に この非常戒厳により陸軍大将をトップとした戒厳司令部が国内の統制を取ることになった。 韓国国会議事堂には、軍が出動。とりわけ、出動した軍の中には第707特殊任務団と思しき対テロ特殊部隊の精鋭部隊が投入されていた。この部隊は国会内へ窓ガラスを割るなどして侵入し、議員らによって封鎖された扉から「突入」したが、議員が消火器を浴びせるなど激しい抵抗を行った。 また、現地メディアや議員らが特殊部隊ともみ合いになる場面があちこちで見られたという。共に民主党のスポークスパーソンの安貴リョン(アン・グィリョン)が兵士の銃を奪い取ろうとする一幕も。 特殊部隊の多くはライフル等の銃器を携行していたが、ライフルのマガジンは青色のテープが貼ってあったり、けん銃もマガジンが抜かれていたりと実弾は装填されていなかった可能性が高く、大統領の命令とはいえ安易に自国民に銃を向けない、誤射等の火種になるような事態が発生しないための最大限の配慮を行ったとみられる。 閉鎖された国会は、国会議員でさえ国会議事堂に入ることは許されなかったが、市民の手を借りて塀をよじ登ったり、入れそうな部分から無理やり突入した議員が多くおり、国会議員300人のうち、国会に集結した190人の議員が戒厳令解除の法案を提出、12月4日未明には可決された。 そして尹大統領は午前4時半頃に国会の要求を受け入れて非常戒厳の解除を表明。午前5時頃に閣議が開催され、非常戒厳が解除されたのである。 非常戒厳の責任を取り、大統領室の室長や主席秘書などが一斉に辞意を表明、金龍顕国防相や全閣僚も辞意を表明した。 ◆国民が国会に集結 12月4日12時頃には最大野党である「共に民主党」が国民に向け国会へ集まるように呼び掛けた。昨夜は兵士などで溢れた国会前の階段には国民や支持者が多く集まり、尹大統領の弾劾と辞任を要求する集会が開催された。 このイベントは夕方にも行われ、ろうそくを灯して「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表をはじめ議員らも多数参加して議事堂前の道路を一周するデモ行進が行われたほか、ソウル市内ではろうそく集会が開催され、1万人ほどが参加した。 最大野党である「共に民主党」など野党6党が尹大統領の弾劾議案を12月4日の午後に提出した。5日未明の本会議で採決が行われ、3分の2以上が賛成すれば尹大統領は大統領の職務が一時的に停止される。 街の声を聞いた。タクシー運転手の男性は「尹大統領はバカすぎる。元から支持率は悪かったが、まさか非常戒厳を起こすとは救いようがない」と話した。 また、韓国人カメラマンは「まさか非常戒厳を自身で体験するとは思わなかった。映画だけの話だと思った。しばらくは不安定な情勢となりそうで睡眠を削って取材が増えそうだ」と話した。 自身の保身のために非常戒厳というクーデターを起こした尹大統領。その代償はあまりにも大きすぎる結末となりそうだ。 取材・文・PHOTO:有村 拓真
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