検証・韓国戒厳宣布 与党代表「なぜ私を逮捕しようと」 側近も知らされず、軍は準備不足
これに対し、時事評論家の尹太坤(ユン・テゴン)氏は「失敗した戒厳宣布を事後的に正当化するための方便に過ぎない」と指摘。「多方面に周知すれば、抵抗を受けて戒厳を実現できなかった。あえて準備しなかったのではなく、準備ができなかったのが実情だ」との見方を示す。
■「価値外交」に傷
尹大統領の政権運営見直しを求めつつも抑制的な批判にとどめていた保守系メディアも、今回はさじを投げた格好だ。主要3紙の社説はいずれも、非常戒厳が要件を満たさず「違憲の可能性が高い」と主張。「韓国政治史に消せない大きな傷を残した」(中央日報社説)、「韓国大統領の歴史上最も愚かな自爆」(朝鮮日報主筆のコラム)などと極めて厳しい言葉で批判した。
尹太坤氏は「大統領が今後、任期をまっとうできると考える人はほぼいない」と強調。米政府高官が戒厳宣布に「判断を大きく誤った」と発言したことに触れ、「尹政権が推進してきた自由民主主義陣営の『価値外交』にも傷を付ける結果になった」と指摘した。